紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

F.I ページ39

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朝からアルバムの宣伝のための
インタビューや歌番組の収録に動画撮影。


バタバタと慌ただしい。


そんななか。



「やだ翔平！行かないで！」

「うーん、そう言われても…」

「翔平、行くよー」


「あああああああ」

翔平はごめんと言いながらリハーサル室を出ていった。



「Aさ、」

「しかたない、海青くんゲームしよ！」

「えーAいけるクエスト増えたん？」

「増えたよ！昂秀くんと夜な夜な
レベルあげして今Ｓ級クエストしてるの」

「えぇっまじで！？」

慎は自分の呼びかけに気づいてもらえず
海青とゲームの話をするAを横目に帰る支度を始める。



「Aさん、そこは左です！」

昂秀に拓磨を加えて４人でゲームを始め
龍も観戦するほどの盛り上がり。


「ああ！たっくんそっちダメ！」

「うわっ」

「A後ろ！！」

「あああ！」

４人が項垂れると龍がクスクス笑う。


「あ、俺そろそろジム行くわ」

「俺も行きます」

「うん、また帰ったら遊ぼうね」

Aは４人に手を振りイヤホンを耳に差し込む。


DVDプレイヤーで振付の確認を始めるAは床に寝転んで鼻唄混じりに手だけを動かす。



「一緒に練習する？」

「あ、樹くん」

Aはイヤホンを外して笑顔を浮かべる。



「今日の歌番組でカメラで抜かれたところ
上手くできなかったんだー…」


「よかったと思うけど？」

「樹くんはいつだってかっこいいもん
どの角度も完璧！私はまだまだだよー」


素直に喜んでいいものか一瞬悩む。



「やっぱり最近の練習不足が出てる…」

「そう？」

「うーん、ダメだね。ほんと下手だ」

Aは盛大にため息をついて顔を伏せる。



「忙しかったし仕方ないって」


「そんなの言い訳だもん…
忙しくてもみんないつもかっこいい」


「…A練習付き合うからそんなへこま」



「もう辞めちゃおうかな…」

「は・・？」


辞める？
らんぺを？




「ドラマの仕事」


「・・・・あ、そっち」


全身の体温が下がったのは一瞬。

早とちりでよかった。


もしAが辞めるってなったら
正直どうやっていけばいいかわからない。


Aのいない生活が想像できない。




「みんなに置いてかれるのは嫌だもん」

「置いてかないって誰も」


「ううん、みんなずっと先にいるから」

Aは小さく笑って仰向けに寝転ぶ。





「ダンス、もっと上手くなりたいなー！」

「じゃあ練習」



Aはこちらを向いた。


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