紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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「ちゃんと考えてるでしょ？」

自信満々にそう言って胸を張るAさん



物語の中の２人がお互いを考えてるとは
随分と意味合いが違うような気がするけど

これはこれで不思議と嬉しいから困る。



「あ、結局２人は相合い傘をするんだよ」

「えっ傘２本あるのに？」


「だって２人で傘さしたら
腕も組めないし手も繋げないでしょ？」



「でもそれじゃあただの荷物じゃないですか」

そう言うとAさんは堪えきれないように大きな声で笑う。




「荷物だけどお揃いの傘を見せつけたいの！」


そう言ってAさんは
肩にかけたアウターを少し押さえて
くるっと一回転した。



「私も仲良しって見せつけたいもん」



他意はない。わかってる。

この人は可愛くて魅力的でタラシで
でも、鈍いのに憎めなくて

そういうところも全部好きで。


だから他意のない言葉に僕が意味を持たせて

僕が物語にしないといけない。



お揃いの傘を持って女性を待ち、
相合い傘がしたくて連絡しない男性のように



「たまには待ち合わせもいいですね」

「ほんと？じゃあまたしようね！」



あなたのことを夢中で考えて
あなたと今からどうやって過ごすか

あなたを待つ時間で考える。




「待ち合わせ場所に同じ服の女性が来る、
これってどう見ても特別な関係ですもんね」



雨が降って傘をささないと
周りには同じ傘かなんてわからない

でも閉じた傘を見てお揃いとわかるのは
物語の２人が一緒に傘を買ったから



「えっ！？」

そして相合い傘をして
自分の傘を一切濡らさないことで




「なんといっても、お揃いですからね」

この人の特別は私だ、と見せつけたかった。





わざとらしく新しいアウターを翻し
意味を理解するあなたが逃げる前に手を握る。



このアウターで街を駆け巡り
僕の特別はこの人だ、と言いふらそう。


僕はこの人に夢中なんだと言いふらそう。


だから早く僕に夢中になって
このアウターと僕をあなたの特別にして。




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