紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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風が涼しくて気持ちがいい。
肌を撫でる風はもう夏の終わりを告げて

秋を感じさせる。

もうTシャツ１枚じゃ涼しすぎる。
アウター持ってきといて良かったな…


Aさんに肌寒いって連絡したほうがいいかな

まぁでも貸してあげればいいか…




「あれ？なにしてるの？」

「あっ…」

「おつかれー！まこっちゃん」


今会うとまずい人たちが事務所から出てくる。


「お、おつかれさまです」

「今からみんなでご飯行くんだけど一緒に行く？」

そう言って爽やかに笑うのは
GENERATIONSのボーカル片寄涼太と
パフォーマーの佐野玲於。


「あっ、えっとー今日はちょっと」

「ちょっと？」

「えっとその…」



「慎くん！！」


その声に振り返る。



「Aさ、」
「Aー！」
「Aちゃん！」

声を掻き消されるほどの数で
僕が待ちわびた人の名前が呼ばれる。


「あれ？佐野さん！片寄さん！
あ、ジェネさんみんないるー！」

「あはは、相変わらず堅いなー」


Aさんは白い半袖のニットに
細かいプリーツの濃いピンクのボトムで
胸元に眼鏡をさして登場する。



「今日はすごくお洒落してるね？」

「はいっ！慎くんと待ち合わせをしてるんで」


Aの言葉に慎の顔を見つめる先輩たち。



「待ち合わせ？事務所前で？」

「今から仕事？」


「いえ、慎くんと買い物ですよ？」

その言葉に慎に同情するように
控えめに笑うのもやっぱり先輩たち。



「A、待ち合わせに事務所前はよくないと思うな」

「えっ、だって私ここしか目立つ建物わからないです」


「「・・・・」」



「慎くん、早く行こ！時間なくなっちゃう！
じゃあ、お疲れ様でした！」

Aは慎の手を引いて歩いて行った。





「事務所前は可哀相だよまこっちゃん」

「Aのニット良かったなー」

「今度、ちゃんと話聞いてあげなきゃ…」


２人を見送る７人はそれぞれが
それぞれの感想を胸に車に乗り込んだ。



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