紅一点、君は百点、僕らは満点

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、



どうしようもなくその魅力に惹かれてしまって、怖くなった。

そう感じるようになったのはデビューして２年経った頃だろう。


可愛い、可愛いとからかうように言って、
これ以上の気持ちを抱えないように
自分自身を常に抑えてきた。


袋から大事そうに靴の箱を出して、いとおしそうに靴を取り出すA。




素敵な靴は、

素敵な場所に あなたが幸せになれる場所に

あなたを幸せに 素敵な人に

導いてくれる力がある。



と聞いたことがある。



「綺麗だなぁ…私にはもったいないくらいの素敵な靴」

宝物に触るように優しく触るA。


「履いてみて」

「え？」

「一回だけ、ね？」

ベッドに座って靴を履くAを椅子に座って眺める。



「あ、あれ、ストラップがうまくできない…」

ワンピースの丈がベッドに座ったことで足首を隠すようでもたつくA。


「さっきはできたの？」

「ううん、さっきは慎くんがしてくれて」


髪を耳にかける仕草にグッときながらも、その言葉がひっかかる。


「まこっちゃんが履かせてくれたの？」

「はい……お姫様気分でしたよ」

へへっと照れ臭そうに笑う。


お姫様気分？なにそれ・・
じゃあ王子様は慎？


そんなのって…。



「じゃあ、次は俺がお姫様気分にしてあげる」

「えっ？」

顔をあげたA。

彼女の足元に跪き、細いストラップを簡単に着ける。


「お姫様、なんなりと」

「ふふふっ、似合ってますね」


「似合ってる？じゃあ、このままキスでもして魔法かけていい？」


その言葉に目を見開くA。



「いつからだっけ、ほくちゃんって呼ばなくなって敬語混じりになったの」

「…北人くん？」

「同い年なのによそよそしくなってさ」

「・・・」


「でも先に線を引いたのは俺だから」


先に線を消すのも俺がしないと。




「魔法を解く王子様になりたいから、魔法はかけないけどね」


そう言って着けたストラップを外し、靴を少し乱暴に脱がす。




「ほ、」

「ほくちゃんって呼び方に戻してよ」

「…で、でも」

「あと早くそれ脱いで。慎にプレゼントされた服着てるのちょっとムカつく」



戸惑いながらも靴を並べる律儀なA。



「似合ってるけど、それより似合うの今度プレゼントするから絶対」



部屋を出てため息をつく。

好きな気持ちは抑えてきたはずなのに、
嫉妬って気持ちだけは抑えられない

子供すぎていっそ清々しい。


あれより似合う服ってこの世にあるのかな…

。

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