【wrwrd】契約した呪霊達はどうやら異国の幹部だったそうで。【呪術廻戦】

対面 ページ4

男について狭い裏路地に入る。
所々に転がるゴミを避けながら、ふわふわと移動する男の後を必死についていく。

何しろ飛んでいるのだから、移動速度が早い早い。
足がもつれないようにするので精一杯だ。

『あの、ちょっと、止まって・・・』
「ついたで」
『うわっと！？』

確かに止まってとは言ったが、急には止まらないで欲しい。

バランスを崩しかけた体を立て直し、廃ビルの裏口から中に入る。
入り口はかなり狭いが、意外と中は広かった。

「鬱、ご苦労」
『あっ、さっきの』

中央のソファーに座っていた男が口を開いた。
先程消えた軍服の一人だ。

鬱と呼ばれた青髪がソファーの裏に回る。
どうやら座っている男がリーダーのようだ。

綺麗な金髪と細い身体からは想像のつかないバリトンボイス。
良く通る低音は威圧感をも纏っていて、自然と体が強張るのを感じる。

「急に引っ張ってきてすまなかった」
『いえいえ』
「私はグルッペン。特級呪霊などと呼ばれているゾ」

自分をグルッペン、と名乗った金髪。
いきなり襲いかかってくるというような事ではなさそうで少し安心する。
しかしその後に続く言葉がわからない。

『あの、特級呪霊って何ですか？』
「知らんのか？俺たちが見えるんだろう？」

そんな意外そうな顔されても困るのだが。
何しろ周りに同じ境遇の人がいなかったのだ。
変なヤツについての知識はないに等しい。

その旨を説明すると、グルッペンさんは顎に手を当てて考え込み始めてしまった。

「そうか、では術師としての教育はなし、か・・・ふむ。」
『・・・あの？グルッペンさん？』

何かをぶつぶつと呟いているグルッペンさん。
今は何も聞こえていなさそうだ。

「まあいい、決めた！今村A、俺たちの主人になってくれないか！？」

突然ガバッと顔を上げたかと思えば、おかしな事を叫ぶグルッペンさん。

主人、という言葉を脳が認識するのに数秒かかった。
雇用主みたいな事だろうか？

後、何気にフルネームで呼ばれた気がする。
教えてないはずなのに。

『すみません、話が見えてこないんですが・・・』
「グルさん、説明すっ飛ばしすぎやぞ」

困惑していると、下から別の声が聞こえた。
同時に足元に気配を感じ、視線を下げてみる。

そこには、標準サイズより少し大きなミニブタがいた。

豚？→←邂逅

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す