【wrwrd】契約した呪霊達はどうやら異国の幹部だったそうで。【呪術廻戦】

恐怖 ページ27

「歯、噛みしめといた方がええで」

そんな言葉が聞こえたかと思うと、風圧がぐっとかかり目を閉じる。
再び目を開けると、もの凄い速さで街並みが目の前を通り過ぎていった。

『んっ・・・！？』
「あー、ここまで飛ばすんは久しぶりやなー」

頭上からは楽しそうな声が降ってくるが、内心それどころじゃなかった。
呪いと対峙した時とはまた別の恐怖に体が震える。

正直、移動は自分でするのかと思っていたから、心の準備もできていない。
心底横抱きで良かったと思った。

下を見るのも怖いので、ゾムさんの上着に顔を埋める。
普段なら絶対しないと思うが、なりふり構ってられないので思い切って襟を握った。

「あ、それええな。しっかりつかまっといてな」

かかる風圧がさらに強くなったのを感じる。
安定性を確保できたということで、スピードを増されたらしい・・・

ジェットコースターとも比にならない速さで進んでいく一行。
ゾムさんの腕の中でカタカタ震えていたら、不意に風が止んだ。

「ついたで」
「立てるか、A？」

どうやら学校についたようだ。
ゆっくり下に降ろしてくれるが、足が震えてうまく立てない。

ふらっとした所を、鬱さんに支えられた。

「あーあー危ないやん。ゾム、ちゃんと配慮したらんと」
「そ、そんなにヤバかったん？服握っとるからだ、大丈夫かと思ってんけど」

確かに振り落とされるかという恐怖はなかったけど、そういう問題ではない。
生身の状態でこんな速く移動したことなどないので、まだ視界が揺れ動いている。

「ちょっと座るか？まだ時間あるし」
『お、お願いします・・・』

鬱さんに手を引かれて屋上の縁に座る。
膝に頭をつけ呼吸を整えていると、緊迫した空気が近づいてくるのを感じた。

「呪物が来たな」
「ぼちぼち下行こか。もう立てる？」
『はい。行きましょう』

まだちょっとふらつくが、先輩達の方が心配だ。
屋上の扉を開けようとしたが・・・

『鍵、かかってるみたいですね』
「そうなん？じゃあもう一回飛び降りるめう」

ひえ。

事件→←意識

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す