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目にも止まらない速さでぶつかり合うイザナと万次郎。最初形勢はイザナに有利であるように見えた。
けれど時間が経つごとに、それは万次郎の方へと傾いていって。
「――――喧嘩まで負けたら、全部なくなっちゃうだろ？」
「！……イザナ、アンタなんでそんなものを、」
どこから調達したのか分からない、銃まで持ち出したりして。
煽る万次郎と、本気の目をしたイザナ。そんな一触即発の雰囲気は、一人の男の子がイザナの銃を払いのけたことによって、終わりを迎えた。
―――きっと彼が、イザナの言っていた“下僕”なんだろう。
イザナに対して絶対的な忠誠を誓っているであろう彼の反抗。“王”に対して、必死に訴えかけている時に、肩を稀咲に撃ち抜かれて。
―――続けて彼を撃とうとして、それはイザナが彼を庇ったことによって遮られてしまう。
一瞬、世界から音が消えてしまったかのような、そんな錯覚に陥って。
一拍遅れて彼の元に駆けよれば、血泡を吹きながらも、小さく微笑みを浮かべるイザナ。
カクチョウと呼ばれた男の子が、信じられないといった風に顔をゆがめる。
俺にはお前しかいないからと、イザナはそう言って笑った。
自分の生い立ちを話していくイザナ。自分は誰とも血が繋がっていないのだと、そう言って自嘲するように嗤った。
なぜ彼が、そんなにも“血の繋がり”にこだわっていたのか、少しだけ分かったような気がして。……ただひたすらに、彼が、可哀想だった。きっと、憐れまれることなんてイザナは望んでない。それでも、そう思わずにはいられなくて。
「……オレの為に、涙を流してくれるんだな、A」
「―――イザナ」
ぼたぼたと抑えきれない涙を彼の顔に零す私を、彼はこの上なく優しい顔で、見つめていた。
その顔に付いた血と泥を少しでも落としてあげたくて、彼の頭を膝にのせて、指でぐいぐいと拭う。
くすぐったそうに目を細めた後、イザナはまた口を開く。
「……お前って意外と泣き虫？」
「……」
「ハハ。――あーあ、欲しかったな、Aが」
彼は、私ではない、どこか遠くを見つめてそう呟く。
「ずっとずっと欲しかったんだよ。きらきら透き通ってて、すげえ綺麗なAを、オレの色に染めてみたかった。―――でも、さすがにそれは、傲慢過ぎたのかな」
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです！みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (
レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。！ありがとうございます！！ (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません！完結おめでとうございます！ (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか？あと最っっっっっっ高です！ (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月25日 14時
