9.嫌な予感 ページ10
自分の体を赤い光が覆って行く。感覚が研ぎ澄まされていく＿＿＿
『今こそ、われに力をかしたまえっ＿＿＿！』
私を包んでいた光は四方八方に広がって散っていった
私の魔法は、光が何らかの音を感知したら、私にも伝わるようなもの。攻撃的な魔法じゃない。
でも、これで友達が救えるのなら…
近くでカリンがそわそわしながらこちらを見ている
「Aちゃん、何か手がかりありそうかしら…？」
「うーん…ちょっと、まっ……ぁっ、いた！」
思わず大きな声が出ちゃった…でも、よかった！2人一緒にいるみたい！！
「カリン！2人一緒にいるよ！」
「あ〜よかったわ！安心したわぁ〜」
「場所的に…地下牢の方にいる…かな？あっ…でも、フウカちゃんたちの上の方の階で、ザカールの声がする…急ごう！！」
待ってて、フウカちゃん、チトセくん＿＿＿＿＿＿
フウカside
あたしたちは、虫つかいの子に会ってから、結構時間が経ってるのに、ずーっと地下牢を迷い続けてるのっ！！
なんでって、地下が広すぎるんだもんっ＿＿＿
「チトセ〜お腹減ったぁ〜〜歩けない〜〜」
「ちっ、お前は黙って歩けないのかよ！」
「だってさぁ〜しょうがないじゃん！あ〜、こんな時にカリンがいたら、クッキーくれただろうなぁ…」
「お前はカリンをそういう風にしか見てないのかよ！？」
「はぁー！？違うわよ、きっと優しくしてくれるんだろーなぁってことよ！！」
「まぁ、俺もこんな状況だから、カリンみたいに気の利く子が欲しい…まぁ…」
(あーっ、もう！聞きたくないっ
はぁ…とチトセのため息が聞こえて、隣で歩いているのが辛くなり、立ち止まる。顔も見れない…
(あたしだって、出来るなら、役に立ちたいと思ってるよっ！
カリンはチトセのこと好きだし、あたしって、本当に邪魔なのかも…
「…もう、そんなの、痛いほどしってるよっ…」
涙を堪えて、顔を上げると目の前を歩いていたはずのチトセがいなくなっていた＿＿＿
「え……まって、チトセーーーー！？」
広い地下牢に虚しく声が響く。今まで気にならなかった、水の垂れる音、風が抜ける音が不安を煽る
その時、怖くて固まってるあたしの足元の地面が歪み始めた
(ひぇぇ…待って、だれかっ！助けてーーー
虚しくも声は届かず、あたしは地面に完全に引き込まれてしまった＿＿＿
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作者名：あんず | 作成日時：2018年5月3日 15時
