吹き飛ばされる王冠 part3 ページ50
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再び差し出された林檎を咀嚼し、嚥下する。それを何度か繰り返して、ようやく一枚分を食べ終わった時だった。
「〜〜ッッッ！？！？」
全身に衝撃が走って、直後に捻じ切られるような激痛に襲われた。息ができない。翼を折られた時とは比べ物にならない。痛覚は鋭敏なのに意識を飛ばせない。吐きそうになりながら吐けない。凄まじい悪寒、頭痛、世界が回っているかのような目眩。内臓を抉られるような不快さ。熱い。いや、冷たい？ ありとあらゆる身体の警告がユウを襲った。
「は、……っ、」
そこでようやく、ソファから転げ落ちたのだと気づいた。発作のように痙攣しながら、それでもユウは必死に笑みを浮かべた。
「ァ、りが、と……」
驚愕し自分を覗き込む二人に作った笑顔はしかし、本心からのものでもあった。
嬉しかった。二人の気持ちが、心から嬉しかったから。
あらゆる不快感に苛まれながらも、自分は幸せだと思った。それはきっと、二人の優しさに触れることができたからで。
エイスとゼフィラが何かを言っているのが朧げにわかった。だがもう苦痛が強すぎて、なんと言っているかわからない。それでもよかった。思い残すことは何も無い。――もう、なにも。
自分はこのまま死ねるのだろうか。ユウはそう、心中で呟いた。
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閲覧ありがとうございます。
作者のゼファーです。
まさかこんなに続くと思っていなかったので驚いています。
現在も執筆中ですので気長にお待ち下されば幸いです。
お気に入り登録、評価、閲覧してくださる皆様に感謝の言葉を。
2021/2/27
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作者名：ゼファー | 作成日時：2021年1月14日 13時
