ふぉーてぃすりー。 ページ45
.
須貝「ちょっと待って」
駅まで送ってもらってお礼を言うと駿貴さんが私を呼び止めた。
振り向くと何か考え込んだ様子だった。
『どうしたんですか?』
須貝「まだ、時間ある?」
『10分ぐらいならあるんじゃないですかね?』
スマホの画面を見ると次の電車がくるまではまだ10分はあった。
須貝「いやそうじゃなくて」
歯切れの悪い駿貴さんに首をかしげると、彼は意を決したかのように大きく息を吸った。
須貝「このあとの予定、俺との予定にしない?」
『へっ?』
予定……は、ないけど。
駿貴さんとの予定とはいったいどんな予定なのだろうか。
『ど、どちらへ?』
須貝「あー…まぁ、お茶でもって言いたいとこやけど、これじゃどこにも入れんからなぁ」
『泥だらけ…ですもんね』
須貝「………俺の家、くる?」
頭を掻きながらポツリと言った彼の言葉はしっかりと私の耳に届いた。
須貝「いや!別に変な意味はない!断じて!
こんな格好やし着替えなあかんし、それにシャワー浴びるってなったら時間かかるし、部屋で待ってれば……いい…かな、って」
考えていることがどんどんと口の端から溢れている駿貴さんはそこまで言うと固まった。
大型犬が動けなくなっているような光景だ。
『この後の予定もないですしいいですよ?
部屋に私がいることを駿貴さんが嫌でなければ…ですけど』
そう言うと駿貴さんは、「そんなとこ絶対ない!」と豪語して私を連れてタクシーの乗り場へと向かった。
.
173人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らい(プロフ) - 陽さん» ありがとうございます! (2022年8月29日 7時) (レス) @page31 id: 097a817d7e (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 好きです!応援してます! (2022年8月28日 12時) (レス) @page31 id: d969f9c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らい | 作成日時:2022年7月17日 10時