28-幼い頃の記憶1 ページ30
*
「…！」
私はさっと目をそらす。
「…なんでそんなに頑なに嫌がるのかがわかんないっスけど…、オレはやっぱり、今のAちゃんの口から、聞きたいんスよね
それに……」
鳥束が膝を私の脚の間に差し込み、内腿を軽くさする。
「……Aちゃんも、このままじゃ辛いっスよね？」
「っ…」
……………もう、いいのかな。
昔の想いを、封印するために、思い出さないように、そう思っていたけれど、結局抑えることはできなかった。溢れ出て来てしまった。
それに、今はもう鳥束とは結ばれた後だ。
苦しい思い出ばかりじゃない。楽しいこともたくさんあった。
だから…もう、いいのかもしれない。
私はゆっくりと深呼吸をして、鳥束のことを真っ直ぐ見つめた。
「………零太くん、大好きだよ」
「…！！」
言ってしまった。
幼い頃、ずっと閉じ込めていて、言えなかった言葉。あの頃の記憶のままに。
自然と笑みが零れていた。やけに晴れ晴れとした気分だ。
それと同時に、幼い頃の感情が蘇ってくる。
鳥束のことを想う気持ち。一緒にいて楽しかったこと、苦しかったこと、たくさんの思い出が走馬灯のように巡り、私は笑いながら泣きそうになってしまっていた。
泣いたらまた何か言われるかもしれない。そう思って鳥束を見上げると、その鳥束も泣きそうな瞳で私を見つめていた。
「…っ」
「！！」
優しく、包み込むように、抱き締められた。
「…と、鳥束？」
「………思い出したっス」
「……え？」
「…色んなこと、思い出したっス。楽しかったこととか、嫌だったこととか…
…オレ、ほんと、バカっスよね。今更、気づくなんて…」
鳥束の声が震えている。泣いているのだろうか。
「ずっと………本当にずっと、オレはAちゃんのことが好きだったんスよ。
他の女の子を見ている時も、心の端ではずっと、想ってたっス」
「う、嘘…」
「嘘じゃないっス。今、Aちゃんに名前を呼ばれて…あの時の気持ちが蘇ってきて、やっとわかったっス。
この間は曖昧な言い方したっスけど、今確信しました。
オレは、出会った時から、Aちゃんのことが好きでした」
「…っ！！」
ぶわっと、涙が溢れる。
「だから…………その、Aちゃんが引越した時は、本当に寂しかったっス…」
「……それは、私も、だよ」
*
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鳥 - 鳥束の可愛さと気持ち悪さがうまく表現されてて最高っす！（褒めてます！）ホントありがとうごΨます！ (8月15日 9時) (
レス) @page3 id: 5d30facf6c (このIDを非表示/違反報告)
ココアちゃんだよん - 面白すぎて2回も読んじゃいました！ (2022年8月21日 20時) (レス) @page33 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
勇者（クッキーアンドクリーム） - 鳥束君と海藤君推しですー♪ふー、逆に鳥束君に胸揉まれたい (2020年11月1日 12時) (レス) id: 89c1acd712 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - ちょこみんと。さん» ありがとうございます！好きだって言って貰えるのすごく嬉しいです！鳥束いいですよね！！ (2020年5月13日 12時) (レス) id: 2e745625de (このIDを非表示/違反報告)
ちょこみんと。 - 鳥束推しです この話めっちゃ好きです！鳥束との恋愛やばい…読み返してます (2020年5月12日 23時) (レス) id: 98235ac0bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レナ | 作成日時：2020年1月21日 13時
