一頁目 ページ3
まだ自分が×んだとは思えない。
そう思えるほど、事態はあっという間に起きて、過ぎて行った。
完全に“×んだ”と言い切るのも可笑しいだろう。今はまだ現世であるこの世にいるのだから。
しかし客観的に見て、『幽霊』という方が正しいのかもしれない。
手足は瓶のように透き通ってもいないし、声を発することもできる。
勿論、自分以外には誰にも聞こえない、無駄でしかない機能だが。
此処で私を悩ませたのは、ドアを叩いたり、地面を蹴ったりすると音が鳴ること。
……生きている時と変わらないじゃないか。
変わったことといえば、瓶に自分の顔が反射しないのと、人に触ると通り抜けてしまうこと。
ここら辺は「幽霊」というしかないだろう。
“生物以外のもの”には触れられるらしい。
なのでついさっきそのせいで“妖怪”と間違えられてしまった。
彼から見たらあの光景は、＜誰もいない日陰＞で＜ラムネの瓶が空中で回っている＞ものだ。
あんなに怯えて、申し訳ない。可哀想なことをしたな少年。
一応『幽霊』(と仮定する)私には制限があるようだ。
人体は通り抜けるが、建物や地面は通り抜けられない。
生きていなければ…というより“生きているという概念があるもの”に、私は干渉できないらしい。
まあ通り抜けたら立てないしね。
そしてもう一つ。多分私は、人に憑くことができると思う。
さっき抱きしめようとした恋人は……
……表情をなくし、心臓を押さえ崩れ落ちた。同じようなことにならなかっただけマシなのか？
まあ、他に試そうとは思わないが“いざとなった時”には役立ちそうだ。
さて、現実逃避はここまでにして。
私は“「取り返しのつかないこと」をしやがった“知り合い”に会いに行った。
＜彼には私が見えるだろう＞
そんな言いようもない期待と、一種の失望を抱いて。
--------
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花氷 ベタ(プロフ) - 夢野さん、感想ありがとうございます！ (2022年7月16日 16時) (
レス) id: 728b26bf44 (このIDを非表示/違反報告)
夢野(プロフ) - うわあ好き(？)これからも更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2022年7月16日 15時) (レス) id: 078c74bdad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年7月16日 14時
