十三頁目 ページ15
sha視点
宇都島神社でコネシマと話していた時だった。
他愛のない世間話の中に入り混じるAを×した理由を探ろうとする魂胆にはがっかりしたが。
だからってしてはいけなかったことだったのは分かっている。
でも知っていたじゃないか。俺がどれほどAを好きだったのかを。
牽制なんかしていないし、束縛なんて出来なかった。
彼女が望まないのを知っていたから。彼女にとって“良い人”でいたかったんだ。
俺からの好意を、Aは薄々感じていたんだと思う。
だから違う大学を選んだんだろう?その時にはもう、今の恋人がいたから。
いいさ。俺がAだったら同じ道を選んでいた。
自分が女子になって、一生友人でいるのも良いし、金を使えば無理矢理結ぶこともできる。
でもしなかったんだ。まだ貴女が捨てられて、俺の元に来るのを願っていた。
呟きながら、コネシマにそう話すとアイツは苦渋を顔に滲ませる。
そして『成仏』の本当の意味を教えてくれた。
<無理矢理祓うこと。言い換えれば成仏は自×と同じなんや…… この世で一番重い罪になる。
×にたいと願っているようなもんだからな。優しく言えば安楽死みたいなもんで。
A から“シャオロン”を祓うから、祓われるのはシャオロン。
難しいやろ?だから罪を背負うのは元々シャオロンだけなんや。
でも、祓われる方は対象に望んだ分の対価を与えられる>
<お前はどうせ、一緒に地獄に行きたいと願うだろうからな、だから俺はこんなに止めてるんよ>
長ったるくてコネシマらしくない、同情に塗れたこの話を聞いた時、
心拍数が早まり、喜びが俺の体を駆け巡った。
しかしそんなことを願えばAはすぐに俺のことを本当の意味で嫌いになるだろう。
『どれだけあなたが後悔しても』
『ずっと嫌ってあげないよ』
そんなことで俺を、現世に繋ぎ止められるはずないだろう。
俺は地獄に行く。Aとは、離れ離れになるんだ。それだけは、嫌だった。
『ごめん、忘れて』
忘れられるはずないだろう。
大好きな人の、残り少ない言葉なのだから。
頬に触れた。正確には触れられていない。でも、彼女は冷たかった。
苦しそうに顔を歪めるのは、昔の記憶を思い出しているからだろう。
馬鹿だなと、馬鹿な俺は思う。
昔からAは甘かった。思考も行動も。
教えてあげようか、最後の手札を。
しかし、本当にいいのか?
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花氷 ベタ(プロフ) - 夢野さん、感想ありがとうございます! (2022年7月16日 16時) (レス) id: 728b26bf44 (このIDを非表示/違反報告)
夢野(プロフ) - うわあ好き(?)これからも更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!!! (2022年7月16日 15時) (レス) id: 078c74bdad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花氷 ベタ | 作成日時:2022年7月16日 14時