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彼らはしっかりと目的地に連れていってくれたようだ。
黙って通り過ぎてゆく一般人よりも善良に思えるが……これも全て演技である。
茶毘は私から情報を得られなかったことによりさらに苛立っていたが、
トガはそんなこと気にせず一緒にショッピングを楽しもうとしていた。
『今回は本当にありがとうございました！……良ければ、お礼がしたいんですが』
「お礼、か。だったら＿＿＿
＿＿＿＿＿＿お前の持っている情報をくれよ」
その瞬間、地面に黒霧のワープゲートが出現する。
私は深呼吸をしながら、黙って今の状況を受け入れた。
＜君の個性は狙われている。でもあいつらも、殺して奪うということはしない。
……諸刃の剣を扱うだけの度胸を、まだ彼らは持っていない＞
＜君の試験は今までの中でトップクラスに危険だ。
命を落とすかもしれない。それでも、受けてくれるか？＞
事前に言われていたプロヒーローたちの言葉を思い出し、自身の横腹を撫でる。
私の本当にすべきことは、『ヴィランの居場所』を暴くこと。情報なんか持ってない。
横腹にはGPSがつけられており、もしものため足首にも埋め込んである。
これも取れてしまったら……私の死は免れない。
しかしそんなのそうでも良い。
今から私が行くのは、いつ首が飛んでもおかしくない場所。
そんなの頭でも体でも理解している。
不安だし、怖いし、逃げ出したい。
それでも私は、みんなに追いつきたいんだ。
＊＊＊
ついた場所は古びたビルの中。
シャッターは締め切られ、日の光などない。
頼りになるのは電気の切れそうな電灯のみ。
私は茶毘とトガに腕を縛られ、無動きを取れなくされた。
そして投げられるように木の椅子に座らされる。
口を覆う布は、声を発せられないようそれ以上に頑丈だ。
辺りを見渡す。
戦力をバラさないように、茶毘とトガと黒霧しかいない。
正直、死柄木がいないのは意外である。
黒霧はスマホを取り出し、
誰かにつなげた。
「初めまして。雄英生徒の、報知Aさん。
安心してくれ。ここは捨ての拠点だ、奴らは来てくれるさ」
聞こえてきたのは、見知らぬ男の声。
GPSのことも知っているのか。だったら何故受け入れたんだ？
やはり、こいつらは私の個性を狙っている。
「嗚呼、顔が見られなくて残念だよ。
これから先、仲良くやって行くというのに」
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
