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お母さんきび砂糖がいいよ。
コクがでるからね。
鋭い蛍光灯の光を鍋から湧き上がる湯気が柔らかくしていく
きび砂糖…なんかない。
毎日疲れて帰ってくる廉に
“栄養あるもの作ってあげなさい。”
から始まって次々と送られてくるメッセージ
この湯気のように私の心に湧き上がるモヤモヤなんて
お母さんは知らなくて
きっとこのまま付き合って、結婚して、孫が産まれるところまで
もしかしたらそのもっと先のことまで
お母さんの夢は膨らんでいるんだろうか。
＿＿＿＿＿ピーッ、ピーッ。
『あっ、。』
背後で鳴る炊飯器の音で、視線は手元に移って
…焦げちゃった。
毎日が苦痛
なんてことは全然ないのに
たまに、本当にたまにだけ
ふとした瞬間、未来の景色が漠然と頭の中に再生される
嬉しい、とか
嫌だ、とかそんな感情は一切なくて
ただ、どこか自分の未来だ、とは確信を持てないまま
私はそれをただ見つめることしかできないんだ
深く、深呼吸をして
「よし、後はお味噌汁。」
もう、考えない方がいい。
誰も未来のことなんて分からないのに
勝手に私の頭の中が先回りして
心だって追いついてないんだから。
＿＿＿＿＿…ガチャ
廉「うわ、めっちゃええ匂いする。」
『おかえり。』
廉「え、肉じゃがやん。」
『お母さんから、ちゃんとしたもの作りなさいって
レシピどんどん送られてきたの。』
廉「ほんまに優しいよなAのお母さん。」
『私いつもちゃんとしたもの作ってない？』
廉「ちゃんとしたものってなに？」
スーツを着てカバンを持ったままの廉が
私の左肩から私の手元を見下ろす
いつもの景色
『ちゃんとしたっていうのは…。
…わぁっ。』
天井を見上げる私の額に
廉の骨張った手のひらがストンと影を落とす
廉「ちゃんとしてないもんなんて作ったことある？
俺Aと一緒に住んでから風邪ひかんくなったと思うねんけど。」
何かがジワッと溶け込むように
温かくなる胸の温度がきっと伝わって
廉「なんか答えろや。」
鼻で笑って部屋に消えていく背中
細くて、頼りなさそうに見えるけど
一度も小さいだなんて思ったことはなくて
そう、いつも私の手をとって半歩先を歩いてくれる
この背中を見続けて
もう六年も経つんだ。
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らら(プロフ) - いつまでも待ちたいのでどうか完結までお願いします😢海羅さんのペースで構いませんので完結まで辿り着けるのをずっと待ってます！待ってる人がわたし以外にもたくさんいると思います！どうかこれが作品を書くモチベになってくださったら嬉しいです！ (2023年4月16日 21時) (
レス) id: 62e93500a9 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - もう何度も読み返しているのですが、やはりどれだけ読み返しても思うことは、この作品が占ツクで一番だ大好きな作品だなって思うことです！定期的に読み返しては泣いてしまうのですがとっても大好きな内容でお話流れで登場人物同士の関係だったりも理想以上で最高です！ (2023年4月16日 21時) (レス) @page1 id: 62e93500a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 更新待ってました…！ありがとうございます！！お忙しいとは思いますが続き楽しみに待っています！ (2022年10月3日 1時) (レス) @page9 id: 2170580ec5 (このIDを非表示/違反報告)
U - 神作。最後は廉くん、紫耀くんどちらのパターンも書いて欲しいです。 (2022年10月1日 15時) (レス) id: 26f8418b7a (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりーむ - 神作すぎません...？ (2022年8月26日 23時) (レス) @page1 id: 3accf3aa3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海羅
| 作成日時：2022年8月23日 2時
