肆拾漆 ページ47
「頸くらい自分でくっつけろよなぁ、顔は火傷かぁこれなぁぁ、大事にしろ顔はなぁぁ」
男の鬼は、女の鬼を慰めるように顔を撫でる。
先程の発言から、どうやら兄妹の鬼……それも身体を共有している二体で一体の鬼のようだ。
(この速さ…、さっき私を吹っ飛ばしたのはコイツか…。なら…)
宇随が斬りかかる。
「待って宇随さん…!ソイツは恐らく…!」
ザンッ
宇随は大方の斬撃を避けたものの、頭に傷を負ってしまう。
宇随の頭から血が流れ、顔面を伝う。
すぐさま彼の横に移動する。
後ろに住人がいるからだ。
「大丈夫ですか…、恐らくアイツは毒を使います。私も右足、やられました。」
「……どうする」
「恐らく、アイツらは二人でひとつです。頸を同時に撥ねる…いえ、どちらの頸も繋がっていない状態を作り出さなければ倒せません…」
宇随はチラリと後ろの住人を見る。
「とりあえずお前は住人を避難させろ、後から合流、俺が毒の方、お前が女の方の頸を斬る」
「わかりました」
私は振り返ると、二人の住人のうち女性の方を背負うと男性の方に「行きますよ」と声をかける。
「竃門くん、一旦退きます!禰豆子を連れて箱まで行きますよ」
「は、はい!」
私達が二階から外に飛び降りたと同時に激しい戦闘音が室内で鳴り響く。
私は背負う女の人が落ちてしまわぬように気を使いながらも必死で走った。
いつも竃門くんが禰豆子を入れている箱まで来る。
するとこちらに向かい駆けてくる足音が聞こえた。
「俺が来たぞコラァ!頼りにしろォォ!」
「伊之助!善逸!!寝てるのか?!!」
駆けてくる嘴平くんと我妻くんに、竃門くんはホッとしたような表情をした。
「ご無事でしたか、二人とも。我妻くん、嘴平くんは宇随さんの援護に向かってください。
私もこの方達を安全な場所まで運んだらすぐにそちらに向かいます」
この言葉に嘴平くんは「おう!」と元気に返事をすると眠っている(ような感じの)我妻くんを連れて走って宇随の元へと向かって行った。
竃門くんも禰豆子を箱に入れ、背負うと立ち上がる。
おもむろに私の方を真っ直ぐに見つめる。
「Aさん、ありがとうございました」
私は目を見開く。
この子は何を言っているのだろう。
「禰豆子の頸を斬らないでくれて…本当にありがとうございました!」
竃門くんはそれだけ言うと走って行ってしまう。
(違う。私は…感謝されることなど……)
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時