忘れたくない3【YG・JM】

66.夜の歌 ページ13

夜になり、夕食を食べようと冷蔵庫を開ける。
食べるものが何も入ってない。


(何か買いにいかなきゃ…)


食欲は無かったし、外に出るのが億劫だったけど取り敢えず、軽く食べられるゼリー等を買いに近所のコンビニへ出掛ける。


(そう言えば、休み始めてからろくに食べてなかったなぁ。)


寝不足と食欲不振で、動悸がやや激しい。
ﾄﾞｸﾝ、ﾄﾞｸﾝと脈打ちながらも、身体はふわふわとしている。
慢性的に寝不足だから、きっと今なら何処ででも眠れそう…


俯きながら歩いていると、前方から人が近付いてくる気配。
顔を上げると、そこには秀人君がいた。




「出歩いて大丈夫かよ(苦笑)」

『あ…。
ご近所だったんだ？
知らなかった…
今帰り？』

「あぁ、コンビニに寄ろうと思って。」

『そっか、私も行くところ。』



二人でコンビニに向かって歩く。



「今回は、ちゃんと休む決断をして良かったと思うよ。
まずは、精神を休めないとな。
それはそうと、この前彼らが来たんだけどさ。
どっかで見た事あるなぁってずっと思ってて、テレビ観てたら映ってたから驚いたよ(笑)
あんな有名人と知り合いだったんだな。」

『来たっ……て？
何処に？』

「お義姉さんから聞いてなかったのか？
この前、職場に来てさ。」

『あぁ…来たのは知ってる。
帰る時に会ったから。
秀人君に会いに来てたんだ…』

「(あれ…これは言わない方が良かったのか？)
佳織との事があって、相当心配なんだろう。」

『だよね…
要らない心配ばっかりさせてる。
その日ね…佳織も居て…
打っちゃったんだ。』

「へぇ、やったじゃん。」

『すぐやり返されたけどね…(苦笑)
凄くびっくりしてた。』

「だろうな。
でも、良かったんじゃないか？
我慢して耐えるより健全だと思うけど。」

『衝動的だったと思う。
佳織とジミンが……
キスしてたの…』

「は？」

『これって、嫉妬なのかな？
私は、バンタンのメンバーの事は一ファンとして好きだと思ってたけど、佳織の台詞を聞いて…
何かイラっとして…
気付いたら打ってた。
歳も凄くはなれてるのに、嫉妬とかおかしいよね…(苦笑)』

「何て言われたんだよ。」

『ごちそうさま、凄く柔らかかった…って。』

「………」

『これが嫉妬なら、私もジミンにキスして欲しいって事になるよね？(苦笑)
佳織なんかじゃなくて、私と…って。』

「……何て言えばいい？(苦笑)」

『答えようが無いよね(苦笑)』




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