形だけでも［完結］ (ページ10)

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夏休みページ10

夏休みになった。

先生に会えないとこんなにも辛いのか。

『寂しいな』

でも先生は私のことなんとも思ってない。
多分、ただのセフレだから…。
それに…

ううん、それでも良かった。
心を開けるのは先生だけだから。

恋？
そんな軽いものじゃない。

愛？
そんな美しいものじゃない。

これは″依存″だ。
だめだって分かりきってるけど離れられない。

_

高校3年生にとって大切な夏休み。
みんな受験勉強で忙しいみたい。

私はやりたいことも無いし、未来のビジョンもないから特に特別なことはしていない。

その辺をフラフラと歩く毎日。

父に襲われても逃げる場所のない夏休みは苦痛でしかない。

起きてご飯を食べて襲われて気絶するように眠る。

それだけ。

夏休み中盤。
父は女と旅行だって言って朝から大きな荷物を持って出かけた。
2泊3日だって。

それを先生に伝えたら、

松村【これからドライブ行こう】

私は白地に花の模様が薄らついたロングワンピースを着て、薄く化粧をして、小さな鞄を持って先生の迎えを待った。

車で迎えに来てくれたラフな私服姿の先生は少しかっこよく見えた。

_

『どこ行くの？』

松村｢内緒ー｣

あれから結構長い時間車に乗っているけれどなかなか目的地には着かない。

結局1時間半くらいして着いたみたい。

『綺麗…』

一面に広がるひまわりの花。

私なんかとは正反対で、上を向いてて、立派で綺麗。

珍しくテンションの上がっている私を見て、松村先生が嬉しそうに微笑んでいたこと、でも少し寂しそうだったことを私は知らない。

_

ひまわり畑を堪能した後は近くのカフェでご飯を食べて、近くの海を見に行った。

夕陽が水平線沈むのを2人並んで見るのは心地いい。

そして海の近くの掲示板で見つけた、夏祭りのお知らせ。

ここは私たちの地元ではない。

ここなら、先生と2人で来ても…。

松村｢夏祭りかぁ｣

『…先生』

松村｢この日空けとけよ｣

先生は夏休みのお知らせの日程を指差して笑った。
その日は、夏休み最後の日。

『ふふ、わかった』

帰りの車の中で、先生のスマホが何度も震えていたことは見て見ぬふりをした。