イーガ団の幹部 (ページ31)

今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:24,509 hit

目覚めとページ31

目を覚まして……目を覚まして……
若い女の人の声がする。
体の周囲には冷たい液体の感覚がする。
何年眠っていたのだろうか。
とても、長い眠りについていた気がする。
そしてこの声が懐かしく感じられる。
柔らかで暖かい声にもうしばらく耳をすまし、今までの記憶を思い出そうとした。が、全くと言って記憶を取り戻す事ができない。

私はそんな声で目覚め、上半身だけを起こした。隣にはもう1人上半身を起こした状態で、あの声に耳を傾けている。
彼はシーカーストーンと呼ばれた端末を手に取り、そこでやっと私の存在に気づいた。

｢……君、誰！？｣
｢……貴方こそ誰！？｣

素っ頓狂な声を出して、2人は呆然とする。
｢私は｣｢俺は｣
｢｢……｣｣
｢お先にどうぞ｣
｢いえいえどうぞ……｣
スっと手を差し伸べられると、
｢私はAって言うの。記憶こそ思い出せないけど……」
手を取り地に足をつける。
｢俺はリンク。因みに俺も記憶がないです……｣

2人とも唖然とした表情になり、とりあえずあの声の主の言う通りに従おう、という事になった。

リンク。金髪碧眼で耳はとんがっていてハイリア人。だいぶ鍛えてあるようだし、騎士なんかをやっていたのだろうか。この洞窟らしき所から抜け出す時にも、岩を簡単に登っていた。

｢君、女の子なのに凄いね。岩なんてそうそう登れる人いないよ｣
笑っている彼も淡々と登っていたけど。
｢私も武術なんかをやっていたんでしょうかね｣
2人とも記憶が無いので、お互い気を使っているし、細かい事は変に聞けない。
そこから回生の祠と言う場所を抜けると、目の前には大きな平原が見えた。そして中心に佇む禍々しい怨念をまとったお城。
あれは厄災ガノン……
またあの女の声が頭の中に響く。
それは彼にも届いているのか、リンクはじっと彼女の説明に耳を済ませ、ただ城を纏う怨念を見据えていた。
ここはどうやらハイラル王国と言うらしい。
そして、彼女はこの国のゼルダ姫と言う名前で、あの厄災ガノンを100年もの間、封じ続けているのだという。そして彼女の力が尽きてしまえば、厄災ガノンは本来の力を取り戻し、ハイラル全土を滅ぼしてしまう。
掠れた声で喋る彼女の様子だと、かなりその時間は限られているように見えた。

｢なんか俺たち……とんでもない事を任されているんだな｣
｢そうみたいですね｣
相槌を軽く打つと、近くに座り込む老人が居ることに気付いた。