隠した想い【ヒロアカ】 (ページ39)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:66,110 hit

34話：心臓移植ページ39

しばらく互いのナイフを躱し続けていたAとアック。お互いに体力の限界になった時。

アックが狼の如くAを鋭く睨み付ける。
そして再び飛び掛った。

アック『僕は…俺はァ……！自身を否定･認めない奴を殺すんだァ！そうしたら俺は自由になれるッ！』

アックは一心不乱に本音を叫ぶ。
それにAは辛そうに顔を歪め、ナイフを振りかざした。…狙うは、喉元。

だがそれは当たる事無くもう一度Aが構え直した時、何故かいきなり冷静になったアックがAに言った。

アック「…僕は疲れたんだ。もう。もう一人の僕がゴメんね」

貴方『どう言う事だ…？それは…』

悲しげに微笑むアックにAは当たり前の疑問をぶつける。するとアックは自身の胸に手を置き、話し出した。

アック「僕は生まれつき心臓が悪かった。
…だから二十歳…成人するまで生きられないと言われていた。そんな中両親は大丈夫と慰めてくれた。

心臓が悪くても仲良くしてくれてた友達がいた。だけど僕は大切な友達と離れたくなかったんだ。そして中学生になるまで苦しながらも生きた。

そして中学卒業後、僕は心臓移植の手術を受けた」

アックの過去話をAはただ黙って聞いていた。するとアックは胸に当てていた手を握り、言った。

アック「けど…心臓移植が済んでから変な声が聞こえ始めた。初めは気にも停めなかった。

友達や先生にだって話した。
だけど心臓移植から暫くすると、両親が強盗に殺された。…それから僕は祟り神、悪魔と呼ばれた。

原因が両親の死じゃない。両親が死んでから僕が行く所全て不幸が起きたから。
だから…疲れたんだ」

そう言い、Aを涙目で見つめて言った。

アック「僕を…殺せ。君は元々僕を殺す気でいたんだろ？」

貴方『…アック…だがお前はイナト議員達とは違い、きっと更正できる筈…』

するとアックはフルフルと首を振って言った。

アック「出来ない、僕はもう疲れたんだ。
頼む、頼むから…！お願いだ、殺してくれ…」

貴方『………………くッ！』

Aは辛そうにアックの喉元を切り裂いた。
そのままアックは笑顔で息絶えた。

だが、最後にアックはAに向かって言っていた。

『ありがとう』と。

それからAは渋々死体処理をして、自宅に戻った。