関係 ページ7
＿＿＿＿＿＿＿
.
それからAとの距離は縮まっていき、よく一緒にいるようになった。
呼び方もいつしか苗字ではなく名前で呼ぶようになったが、友達以上恋人未満の関係だった。
常にお互いを高めあえる、必要とする仲。
職場体験先が同じだったり、林間合宿で共闘したりと、数を重ねる事にそれは深まっていった。
そして文化祭を迎えた頃____...
「A、何処行ってたんだ」
1-Aでの出し物が終わりそれぞれが出店を回る中、Aは一人抜けていった。
『ん？トイレ行ってた！』
「そうか。けど一応言わねぇと不安になんだろ」
"林間合宿のこともあんだから"
それは決して口には出さなかった。
何よりAが気にしていたもので、敵連合に連れ去られた張本人でもあるからだ。
爆豪と共に黒霧の中に消えていった時のあの怒りは忘れない、あの時のAの悔しがる姿を忘れない。
『こら、そんな怖い顔しない！
･･･でも、焦凍には正直に言うよ』
「･･･？」
『普通科の人から告白･･････されたんだ』
「･･･告白」
うん、とはにかみながら顔を赤らめた。
良かったじゃねえか。
そう言えたのに、言ったはずなのに、
言葉は出ずに息が漏れただけだった。
代わりに心臓が嫌に大きな音を立てた。
『まぁ断ったんだけどね』
「理由でもあんのか」
『その人には申し訳ないけど、私は自分が好きになった人と付き合いたい。徐々に･･･とか約束もできない付き合い方はしたくないの』
「･･････そう、か」
Aらしいなと思った。
しっかり自分の芯を持って貫き通す姿に
俺はいつも目を離せなくなっていた。
そしてこの答えを聞いた瞬間、
変な安堵感に見舞われた。
『･･････焦凍？ なに笑ってんの？』
「･･････俺も、分かんねぇ」
『めっちゃ笑顔じゃん！そんな顔見たことないって、レアすぎ！！』
自分がどのくらい笑っていたのかは分からないが、Aが思わず写真を撮るくらいには珍しかったのだろう。
今なら分かる。
笑ってたというより･･･ニヤついてしまったんだと。
「･･･お前といると、変なことばっかりなんだよ」
Aだけに起こるものは
他の誰にも起こらない。
味わったことのない感情ばかりで
どうもついていけないんだ。
『いいじゃん、私といて飽きないってことでしょ？』
「･･･そういうことにしといてやる」
まだ気づかないだけだったのにな.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉緒(プロフ) - ボロボロ泣きながら読みました…！切なくて綺麗な世界観でとても引き込まれました。ありがとうございました！ (2月6日 15時) (
レス) @page31 id: ff1884054a (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - 雨色の水滴さん» コメントありがとうございます！アカウント変更で通知が来ず返信が遅れてすみません…！ そう言っていただける作品作ることができてよかったです。本当にありがとうございました！ (2021年8月4日 16時) (レス) id: 6a8a3c2907 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 涙がボロボロ溢れてきます!!素敵な作品をありがとうございます!! (2021年6月19日 9時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！！そのお言葉で、作って良かったなと思えます(泣) ご愛読いただけて本当に感謝です！ありがとうございました！ (2020年8月3日 6時) (レス) id: a96d419ae2 (このIDを非表示/違反報告)
みー - とても感動しまし!! 何回読んでも涙が止まりません。 この物語は私にとってとても大切な物語ですありがとうございまし!!! (2020年8月3日 4時) (レス) id: 308ccef0fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ray. x他1人 | 作成日時：2020年3月30日 18時
