恋 ページ9
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それからあっという間に時は過ぎ
気づけば冷たい空気が流れるようになった。
『ね、焦凍！ 今日 雪が降るんだって！』
「雪か･･･いつぶりだろうな」
記憶違いでなければ小学校低学年だろうか。
自分の目で見た記憶としては全く覚えていない。
『私も。寒いけど見たいよねー』
ワクワクしたように廊下の窓から外を見るAに、そうだなと俺も笑い返した。
・
「･･･あ」
学校の外に出れば、頬に当たるひんやりとしたもの
ほんのりではあるが
それは確かにさっき話していたものに違いなくて
『････････････雪だ！』
雪も空気を読んでくれたのだろう。
Aは幼子のようにニコニコしながら俺の手を引き雪の中に入っていく。
(･･････真っ白だ )
そう思ったのは雪でも景色だけでもなくて
Aの真っ白な髪色も肌も
すべてが一部になっているように見えて
このままいなくなってしまうんじゃないか、
そんな風に思ってしまうくらい
Aは儚く映った.
『よかったー雪見れて･･････っぐしょん!!』
「なんでこんな寒ぃ日にコートもマフラーもしてないんだよ」
『寝坊したからもういっかなぁって』
鼻先を赤く染めて強気に笑っているが、肩がブルブルと震えている。体育祭の時もそうだがいつでも意地張って強がっちまう、こいつは。
『･･･焦凍？ いいよ！寮に帰るだけだし！』
「それでも寒ぃだろ。風邪引く」
自分の巻いていたマフラーを無理矢理Aの首に巻き付けた。
･･･が、
「･･･なんかおかしくなっちまった」
『もー顔にまで巻かれてんじゃん！』
小さな顔はすっぽり埋もれ、髪もぐちゃぐちゃ。
そんな出来を見て笑うAにまた胸が高鳴る。
『せっかく巻いてくれたし、このままかーえろっ』
・
「･････････あぁ、俺もこれで帰る」
『･･･っ、しょ、うと』
冷えきってしまった細くて小さい手
無性に･･･繋ぎたくなった。
真っ白な肌に桃色がじんわり色を付ける。
あぁ、そういうことか。
これが
(･･････恋、なんだな )
悪い気持ちはしない
むしろ初めての気持ちに口角が上がったのだった.
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莉緒(プロフ) - ボロボロ泣きながら読みました…！切なくて綺麗な世界観でとても引き込まれました。ありがとうございました！ (2月6日 15時) (
レス) @page31 id: ff1884054a (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - 雨色の水滴さん» コメントありがとうございます！アカウント変更で通知が来ず返信が遅れてすみません…！ そう言っていただける作品作ることができてよかったです。本当にありがとうございました！ (2021年8月4日 16時) (レス) id: 6a8a3c2907 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 涙がボロボロ溢れてきます!!素敵な作品をありがとうございます!! (2021年6月19日 9時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！！そのお言葉で、作って良かったなと思えます(泣) ご愛読いただけて本当に感謝です！ありがとうございました！ (2020年8月3日 6時) (レス) id: a96d419ae2 (このIDを非表示/違反報告)
みー - とても感動しまし!! 何回読んでも涙が止まりません。 この物語は私にとってとても大切な物語ですありがとうございまし!!! (2020年8月3日 4時) (レス) id: 308ccef0fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ray. x他1人 | 作成日時：2020年3月30日 18時
