Good Old Days 040 ページ6
「……きっと、いや確実に、これから、現2年の皆がこのバスケ部を引っ張ってくれるでしょう。……」
ふと、隣に座る和成に目を向ける。真太郎はともかく和成なんかは、今のところ真面目要素ばかりの引退式に飽きているのではないかと踏んでいたのだけど、彼は存外真面目な顔で大坪さんの言葉に耳を傾けていた。
「……私は、伝統あるこの秀徳高校で、主将としてバスケットボールに携われたことを誇りに思います」
彼は主将からの言葉をそう締め括ると、お辞儀をして壇上から去る。しゃんと背筋を伸ばした姿勢1つをとっても、どの所作も(本当に高校生か? と疑わしく思えるくらいに)堂々としていて風格がある。
私は手が赤くなるくらい拍手をしながら、大坪さんの背を目で追った。もう、主将とは呼べなくなるその人のことを目に焼き付けておきたかった。――練習中とか、もっと見とけば良かった。
どうせ、スポドリの補充やら洗濯やらで立て込んでいるからそんなにまじまじとは見られないんだけど、ね。
そのまま時計は進んでいって、メッセージアルバムと花束を渡す時間になった。
私は和成と真太郎に並んで舞台に上がる。
真太郎は大坪さんに花束を、和成と私はそれぞれ木村さんと宮地さんにメッセージアルバムを渡し、1言感謝を伝える。ただ、それだけのことだ。
それだけのことで、私の1年間の思いを伝えきれるはずがないから100言喋っちゃうけど。
「宮地さん1年間ありがとうございました。正直、入部したての時は厳しすぎてパイナップル見るだけで宮地さん思い出して冷や汗かくくらいトラウマ植え付けられてました。でもそのうち、愛があるからこその叱咤なんだなとか思えるようになるとドルヲタさえカッコよく見えてきて」
そこまで言って我に返ると、まずいしくじった、と後悔した。ヲタ全開で喋ってしまったのもあるけど、何より宮地さんがドルヲタということをバスケ部員の前で暴露してしまったのだ。
もしかしたらヲタバレ勝手にされて怒るかな、と不安になる。きっと怒りに打ち震えているであろう彼の顔を見るのは勇気がいった。
が、流石に失礼なことを重々承知しているので、1歩踏み出せばぶつかるような位置にいる宮地さんを見上げた。
Good Old Days 041→←Good Old Days 039
37人がお気に入り
「黒子のバスケ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふなふね(プロフ) - コメントありがとうございます……! すごく力になります! 作者はこれから多忙になることが予想されるのでそれまでにガンガン更新していきたいと思うので見捨てずこれからもこの作品をよろしくお願いします! (2023年3月19日 8時) (レス) id: 7172b187f5 (このIDを非表示/違反報告)
和‐カズ‐(プロフ) - ふなふねさんの、この作品めっちゃ好きです!これからも更新頑張ってください! (2023年3月19日 7時) (レス) @page19 id: 5655eee53b (このIDを非表示/違反報告)
みかん - やっぱり作り直すのやめて、パスをもう自分でもメモしないとわからないやつにかえました!お互いに頑張りましょう! (2022年6月27日 16時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね(プロフ) - みかんさんヘ―ありがとうございます。お互い頑張りましょう。水無月歌恋さんへ―目を通してくださりありがとうございます。励みになります。 (2022年6月26日 20時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
みかん - はい!私が占いツクールで小説書こうと思ったのふなふねさんのおかげですから!後、私の駄作を読んでくださってるんですか!ありがとうございます!荒らされた件でもう一度作り直しますのでまっていてください! (2022年6月26日 15時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふなふね | 作成日時:2022年4月21日 21時