Good Old Days 025 ページ38
彼は時折相槌を打ったり頷いたりしながら私の話を聞いてくれた。
「私、純粋に黄瀬君のこと友達として見られてないと思うのね。恋愛的な意味とかじゃなくて、『モデル』として見てるって意味。黄瀬君、私から友達ヅラされても嫌なんじゃないかなって」
私がそこまで言う。自分で言ってて意味分かんないな、と思う。けどちゃんと、自分の言葉で伝えなきゃね。
「だからね、キセリョって呼ぶのは黄瀬君に嫌だって思われたくなかったからなのね。でもごめん、そっちの方が嫌だったんだ」
私は私が黄瀬君のためにしてきたこと全部を、ありきたりで言い訳じみた言い訳にした。
私の壮大な言い訳を聞き終わった黄瀬君は、やっぱり私ににっこり笑顔を見せて
「Aっち! 速く行かなきゃ、先輩にしばかれるっス」
いや、私はしばかれないよ。黄瀬君だけだよ。
私がごく自然に黄瀬君、と呼ぶと、彼は私まで嬉しさが伝染するくらいの今までで一番嬉しそうな笑顔を整った顔に浮かべた。
みんながバスケをしていたコートが見える位置までくる。どうやら、丁度試合が終わったところらしい。
「黄瀬ー! お前審判なのにどこ行ってんだよ! 得点わっかんねえじゃねえか!」
早川さんが手をぶんぶん振りながら言った。距離があるので、声を張り上げている。おお、ラ行がないからクリーンに伝わる……! と密かに感動。
「すみません! 黄瀬君はスポドリ買うの手伝ってくれてたんですー!」
私から弁明して、もう一度審判を任されそうになっていた黄瀬君を救ってあげた。
「なあ、Aちゃん。黄瀬と2人で何してたんだ?」
スポドリを渡す時、森山さんがニヤつきながら聞いてきた。和成も、「あっそれオレも気になる!」と食いついた。
「何って……普通に、私がスポドリ持てないから黄瀬君が運んでくれたんです、それだけ」
森山さんはチェッ黄瀬の奴ヘタレと罵り、和成はホッとしたような顔でスポドリをガバっと飲んだ。
「良かったー。黄瀬クンに何かされてたらどうしようとか真ちゃんと一緒にめっちゃ心配してたんだぜ?」
「な、オレは別に」
「照れるなって、緑間」
真太郎照れてるな。だって、彼が照れた時や動揺した時に眼鏡を押し上げる癖が出ているもんね。
人間観察って、案外楽しいかもね。
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時