Good Old Days 005 ページ18
7月某日。
「ねーそんなこと言わずに! 奢るからさー」
オレがそう言うと、日田さんは動きをピクッと止め、こちらを振り返った。
しまった、と思った。が、もう遅い。
くるっとオレの方を向いた日田は、こちらがびっくりするくらいに可愛く口角を上げてみせた。
日田のターンに合わせて広がった彼女のセーラー服のスカートにドキッとする。オレ、変態みたい。
「よし、じゃー行く気になったよ。焼肉屋」
彼女の口から発せられた“焼肉屋”という単語に思わず口を噤む。
そろぉ〜っと財布の中を確認した。うげ、と声が出てしまいそうだ。
オレはマジバか、強いて言ってクレープ屋くらいなら譲歩してやろうとは思っていたが、まさか図々しく焼肉を奢らせよう等という魂胆に気付いていなかった。不覚。
「Aちゃーん? 焼肉屋はちょっとキツイかなー……なんて……」
ひくつく頬を抑えながら、チラチラと日田さんの顔色を伺うように言う。
一瞬だけ本気で残念そうな顔を見せたが、すぐに切り替えてカラッと笑った。
「しゃーない、マジバで許してやろー」
「ははー。ありがたき幸せ」
オレは内心ほっと安堵の溜息をついて悪ノリした。日田さんの、そういうところを弁えた性格に感謝感謝だ。
某有名ハンバーガーショップへと移動中。
「ねぇ、何を話すつもりなの? 学校じゃ駄目な話? 恋の相談なら乗るよ」
にこにこしながら、オレの顔を覗き込む日田ちゃん。うーん、守りたい、この笑顔。
「へっへーん、マジバに着いてからのお楽しみっ」
ヒントをせがまれたので、「7月7日はなんの日?」と超分かりやすくヒントを出した。あ、七夕じゃないかんなと付け足す。
「ん〜?」
日田はを捻った。パッと閃いた顔をしたので、答が分かったのかと聞くと、彼女は自信たっぷりに叫んだ。
「サラダ記念日後夜祭!」
思わず、笑みが零れる。それがファイナルアンサーなのだろうか。
残念ながら、というか当然ながら不正解(いや、確かにサラダ記念日後夜祭っちゃそうなんだけど、オレの求める答とは違った)ため、答合わせはマジバに着くまで持ち越しとなった。
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時