【オリジナル】野獣と剣士と独りの僕 (ページ8)

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6話目覚めに女性(仮) ページ8

ズキン、と。

瞬間的に、全身へと伝わっていったひどい痛みで目が覚めた。

起き上がろうと両手に力を籠めるも、変わりに出てきたのは痛みに耐える僕の呻きだけで。

...まぁ、そのお陰で僕の意識は完全に覚醒したわけなのだから文句は言えない。

僕は現在自分の置かれている状況、そして身体をつんざくような鋭い痛みの正体を突き止めるべく、全く動かない体の変わりに目を動かした。

まず自分の身体を見てみると、腕や足...詰まる所全身にかすり傷を負っていた。

いや、それだけではない...他にも打撲傷や出血、もっと酷いところは＿＿＿

『...捻挫、かなぁ』

左足首が全く動かない...いや、動かせるには動かせるのだが、正直痛みが酷くて其れ処ではないといった感じだ。

次に、自分の周囲を見渡してみる。

これは流石に目だけでは無理なため、まだ痛みはするのだが幾分かマシになった首を動かすこととなった。

『え～っと...ん？』

...身体を動かせない理由が、今やっと判った。

初めに見えたのは、これまた見事な金...上品なロングスカートに金髪をした名前も判らない女性が、僕の腹部辺りに股がるようにして座り、じぃっと此方を凝視していたのである。

驚かない？

否、驚くし叫び声も上げるに決まっている。

自問自答の末、僕は腹の底から大声を発した。

『...っ、うわぁぁぁぁあ！！？』

「ぎゃぁぁぁぁあ！！！」

僕の叫び声に驚いたのか、股がっていた女性は案の定驚きの声を上げた...僕が想像していたものよりも、随分と野太いと感じられる声を。

もう、女性かどうかさえ疑わしくなったその人物は、自身の体を倒してそのまま後ろへと転がっていた。

倒れた瞬間、うげぇ...と悲鳴を上げていたことから、自分の意思に反しての行動であったのだということが伺える。

僕は漸く自由の身となった上半身を勢いよく起こし、まるでアート作品かのような体型で先程打ち付けたのであろう後頭部を抑え悶える女性(仮)に視線を移した。

「んぁぁあ"！イッタイじゃないの！！

か弱い乙女の頭にたんこぶが出来たらどうしてくれんのよ！！えぇ！！？」

『え、えぇ...』

何か言おうと口を開く僕より早く、かなりの大音量で文句をつけてくる女性...いや、女性の格好をした男性。

僕知ってる...オカマ、って言うんだよね？

「見てほら、ここ！

絶対たんこぶ出来てるから！あんた、何てことしてくれてんのよ！？」

『自業自得じゃ...』