過保護が四振り ページ5
『光忠〜今日の夕飯はなんだ〜？』
「うん、山伏くんが沢山山菜を採ってきてくれたからね。
今日は天ぷらパーティーだよ」
『マジかよ...山伏良くやった』
大広間から離れた私は今、芳ばしい匂いを追って厨房へと訪れていた。
...まぁ当然のように側には一期が控えており、私がいつ転ぶのか否かとハラハラしながら此方を窺っている訳なんだが。
そんなことをお構い無し...というか、寧ろ今すぐ止めて頂きたい私は彼を居ない者として完全に無視している。
『歌仙〜味見してやるぞ〜』
「してもらわなくて結構だよ」
『え？そんなにして欲しいのか...全く、しょうがない奴だな〜！』
「話を聞きたまえ」
入り口に掛けられている暖簾の幕をヒョイと持ち上げ、天ぷらを揚げている歌仙兼定の背中に向かって声を掛けてやる。
天ぷら、喰わせろ。
しかし、雅を重んじる彼は一向に味見をさせてくれなかった。
え？こっちから食べに行けば良いだろって？
「主殿？
厨房には危険な物が沢山あると、何時も言っているでしょう？」
「え、また主入ってこようとしてたの！？」
「あの、“主は立ち入り禁止だからな by巴形”の貼り紙が見えないのかい？」
お分かり頂けただろうか？
一歩だ...私は今、ほんの一歩だけ厨房のタイルを踏み締めた。
たったそれだけのことで一期には抱き上げられ、山菜を切っていた燭台切光忠には信じられない...といったような瞳を向けられた。
挙げ句の果てに、歌仙には私から見て真正面に位置している冷蔵庫...正しくは、そこに貼り付けられている用紙を指差してため息を吐かれたのである。
主、悲しい。
『なぁなぁ、お前らホントに過保護過ぎじゃないか？
普通の審神者と刀剣はこんなんじゃないだろ？
普通の審神者と刀剣は！』
「主...他所は他所、うちはうちだよ？」
『くっそ、オカンくっそ』
「はいはい」
若干恨めがましく言い放った私に、笑顔を浮かべて返答するオカ...光忠。
今尚一期に抱き上げられている為、私は両足を空しくぶらつかせている。
いい加減降ろして欲しい。
...そんな時。
「主、きみに文が届いてたぜ...恋文か？」
後ろから掛けられた声に、私も一期も驚いて肩を揺らした。
全身真っ白な彼の手に握られていた一枚の文を受け取り、私はそれを開く。
＿＿＿審神者集会
文に書かれていた文字を見て、私は盛大に肩を落とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 716人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
39(プロフ) - コメント失礼します。 過保護素晴らしいですね。これからも応援しています。更新頑張ってください。 (2018年1月18日 16時) (
レス) id: e9686b26d6 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もうこの小説大好き（真顔） (2018年1月17日 16時) (レス) id: ae7acc3881 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね！これからも頑張ってください！応援してます！ (2017年9月22日 22時) (レス) id: 487e55f362 (このIDを非表示/違反報告)
カノト(プロフ) - 合作募集のものなのですが……刀剣乱舞だったら合作依頼をしたいです……！キャラ崩壊とか酷いと思いますが…… (2017年9月9日 19時) (レス) id: a01b9f2740 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽りお(プロフ) - リクエストで、あまりにも刀剣たちが過保護すぎてストレス溜まって情緒不安定になっちゃって、逆に刀剣達に甘え始めちゃう夢主ちゃんがみたいです！過保護な刀剣可愛すぎです(笑) (2017年8月24日 21時) (レス) id: fe37e3a36d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
