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19話 輝く瞳と少年の祈り ページ21

「...っ!」




太陽の光を浴びて輝いているAの瞳に、鶴丸は息を飲んだ。


自身のものと同じ色をしたそれは、何処までも透き通っていて。



...美しいとさえ、思えるものであった。




『何か、言い残すことは?』




祓い串を天に掲げ、暖かい光に包まれていく秋田藤四郎に問い掛ける。


徐々に薄れつつある自身の手のひらを見詰めていた秋田は、パッと顔を上げて頷いた。



その大きな瞳からは、新たな光の雫が溢れ出ようとしていた。




「...もう一度、あの方と出会えますか?

もう、一度...あの方を、守れますか?



あの方と、“家族”になれますか...?」




止めどなく頬を伝っていく涙はポタポタと、彼の足元に幾つもの跡を作っていった。


まるで祈るかのような秋田の言葉に、Aは優しく微笑み返す。


一つだけ力強く頷き、掲げていた祓い串を自身の胸元へと構え直した。




『君が、そう願うのなら...また、出会えるよ』



「...っ、はい!」




Aの言葉に、大きな返事をする秋田。


彼の瞳から溢れ落ちた雫は、この世のものとは思えないほど綺麗なもので。



それはまるで、眩い光の中に消えた心優しい少年そのものであった。




『...神界へ還った君に、幸有らんことを』




天へと向かって昇っていく光が見えなくなるまで、Aは祈りを続けていた。









『...これにて、本霊還しを終わりとする。


もう、動いて大丈夫ッスよ!』




終了宣言をして、後ろの刀剣たちを振り返ったAは何時もの笑みを浮かべていた。


ぐるりと肩を回し、ゆっくりとした歩みで縁側付近まで近寄ってくる。



笑ってはいるものの、彼の表情には隠せていない疲労の色が滲み出ていた。




「お疲れさん。

あんたの部屋に布団敷いてくるから、昼まで寝てろよな」



「茶を淹れたから、とりあえず座れ」




ふらふらとした足取りで向かってくるAの身体を、走り寄っていった薬研が支える。


縁側に座り込んでいた鶯丸は自身の隣に置いていた湯飲みに茶を注ぎ、歩み寄ってくる主へと差し出していた。



己の主を気遣う二振りの表情は、何時になく優しいものであった...と、鶴丸は後に語る。


彼もまた、何か出来ることはないものかとAの方に足を向けた。




「凄いな、君!

何と言うか、その...凄く格好良かったぜ!!」



『はは、お気に召したようで良かったッス』




褒めの言葉を投げ掛ける鶴丸に、Aも嬉しそうに微笑みを浮かべた。

20話 一難去って→←18話 祓詞



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- 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです!続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でッ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします!続き楽しみにしてます! (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏仁豆腐 x他2人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月14日 21時

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