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12話 笑う緑と鶴の答え ページ14

場所は変わって、此処は客間...もとい、鶴丸の部屋である。


あの後、結局薬研に捕まったAたちは斬られることは無かったが、その変わりに思いっきりぶん殴られた。


頭を抑えて沈み込むAと鶴丸に、薬研は冷たい視線を向け「今日一日中、あんたらは客間から出るな」と言い捨て、秋田を連れて広間へと歩いていった。



そして今に至る。




『痛てて...ったく、薬研たんももう少し手加減してくれれば良いのに...たんこぶ出来たッス』



「...まぁ、兄弟を思う気持ちは良いものだと思うがな」




頭を抑えながら畳に突っ伏すAに、鶴丸は苦笑いを浮かべながら彼を諌める。


自分たちに向けられた冷たい視線も、兄弟を守ろうとした為のものだと考えれば可愛いものだ...と、鶴丸は自身の心にそう言い聞かせた。



そう言って、よっこらせと畳に腰を降ろす鶴丸に、Aはごろんと仰向けに転がりながら「そうッスね」と肯定の意を示す。




『薬研たんも、兄弟と会えて嬉しそうだったし...結果オーライッスかね?』



「まぁ、そういうこった」




ニッと歯を見せて笑うA。


その言葉に、鶴丸も一つ頷いて同じように寝転がった。




『...斬らなくて、いいんスか?』



「...は?」




言葉が止み、静寂に包まれる客間に、一人のか細い声が響き渡った。


鶴丸がその発生源の方を見やると、此方を真っ直ぐに見詰めるAの青緑の瞳と目が合う。



その、気を抜けば吸い込まれそうになる青緑に、鶴丸は無意識に視線を反らした。




『俺、今完全に無防備なんスけど?』




まるで挑発しているかのようなAの言い分に、金色の目を細めた鶴丸。


一つ息を吐いてから、その問い掛けに答える言葉を紡ぎ始めた。




「今君に斬り掛かったとしても、騒ぎを聞いて駆け付けてきた薬研や山姥切に叩き折られるのが目に見えている...そんな無粋な真似はしたくないし、折られるのも御免だ。

それに...君が言ったんだろう?」




ふ、と反らしていた視線を戻し、Aの方を見詰め返す。


相も変わらず、二つの青緑が輝いていた。




「“誰のものでもない、俺だけの答えを見付けろ”...と。

その答えが見付かるまでは世話になるからな。


だから斬らない...今は、まだ」



『...了解ッス』




鶴丸の答えに、Aはクスリと微笑んだ。

13話 鶯の茶会→←11話 審神者の扱い



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- 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです!続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でッ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします!続き楽しみにしてます! (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏仁豆腐 x他2人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月14日 21時

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