真夏の白昼夢

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「俺、必要とされてたんやで？」



大きな声で、叫びたかった。


私だって！
ずっと、ずっと、
出会って、恋に落ちたその時からずっと今まで

廉を必要としてる！って。



でも、できなかった。

廉の視線が、あんまりにも冷ややかで。
……1度も、そんな視線、私に向けたことなかったのに。

ショックで。



「わたし、出張から帰ってきたとこで、」

「ああ、だからここ2、3日居なかったんや」

「………つかれてる、の。だから、もう…」



なにも。
なにもかも。

もう考えたくない。

放り出してしまいたい。



「今日のとこは、帰って……？」




わかった。って廉が帰る準備してる。

その様子みてたら、
もしかして、私が居ない間、ずっとこの家来てたのかなと思う。

浮気、したのに。
私のこと待ってたんだ。

意味わかんない。



「……ほら、今も」

「え？」

「泣かへんやん。浮気、したって俺が認めても。泣きさえしない。」

「……」

「じゃ、また」



泣いて…よかったの？

私、泣くの我慢してたのに。


よく、泣く女は面倒くさいって言うから。
廉の前では、泣いたことなくて。

でも、それは間違えだった？


わかんない。


どうしてこうなっちゃったの？




「ううう………うえーん…」




涙が、溢れてくる。

リビングによろよろ歩いてって、
ソファーにばったーんって倒れた。



はあ。



このまま別れることになるのかな？

わかんない。
なにより、自分の気持ちが、わからない。


あんな奴最低！って思うのに。
顔見たら、やっぱり好きだなってなっちゃう。




「………やだぁ………」



それは、どっちの？


廉が嫌なの？

別れるのが嫌なの？



___ふと、

机の上の雑誌が目に入る。


廉と、行く予定だった島の旅行雑誌。



「………」


飛行機って、
前日でもとれたっけ。

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