花ぞ咲かむ。- 最後の３週間 -

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:5,355 hit

・ページ12

・２day. (後編)

駅の改札口を抜け、北斗を探す。人が多く、どこにいるのか全く分からない。
「どこなの、。」
駅で待ち合わせるのではなかったと後悔。

北斗に電話を掛けるが繋がらず。

__________キャッ。

点字で足を滑らせ、転びそうになると背後から腕を掴まれた。
「危な。」
振り替えるとそこには北斗が。

色々な意味で安心して私は北斗に抱きつく。
「ちょっ、、、A。」
危ないだろなんて言いながらさりげなく私の背中に腕を回してる北斗。そんな北斗に私の鼓動は
どんどん早くなっていく。

そんな時、私たちの隣を親子が歩いた。
「んねぇ、ママ？なんであの人１人で喋って変な動きしてるの～？」
「こら！！見ちゃダメ！！」
あ、そうだ、、。私、他の人には見えないんだ、。

「ほ、ほくと、。そろそろ、行こう？」
「そうしよっか。」
よかった、。北斗は気づいてないみたい。

それから私たちは服を見に行ったり、カフェでお茶をしたり。

気づいたらもう７時。
「そろそろ帰ろっか。」
北斗のその一言で私たちは帰る。

「北斗。今日はありがとう。楽しかった。」
「うん。」
それっきり、話がなくなった。妙な空気が私たちの間を流れる。
この空気が嫌で必死に私は話すことを探す。

でも、そんな沈黙を破ったのは北斗だった。
「A、。あの、さ。」
北斗の緊張が私にまで移る。
「う、うん。」
「好き。」
え、？北斗が私のことを好き、？
「A、、？ご、ごめん。忘れて。」

そう言う北斗のことを私はいつの間にか抱き締めていた。
「忘れる訳ないじゃん。私も北斗のこと好きだもん。」
「え、？」
「だから。好きなの！！北斗のこと。」
「A、、、。んじゃぁ、俺の彼女になってくれますか？」

「それは、、、ごめん、。」
「なん、で、？」
「私は、北斗のことを幸せに出来ない。」

私はもうこの世には居ないから。あと３週間後には、一緒に居ることは出来ないから。
そう伝えられればどんなに楽になるのだろう。

でも、、、伝えてはいけないから。北斗には笑っていて欲しいから。

だから__________。

「こんな私でごめんね。今日はありがとう。またね！！」
今できる精一杯の笑顔でそう北斗に伝え、北斗の前から私は逃げた。
後ろから私の名前を呼ぶ愛しい人の声に私は涙を流す。

「ごめんね。北斗、。大好きだったよ。」

その日の夜はとても切なく、静かだった。まるで、私の心のように。