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それからは平和な日々が続いてた


つけられることもぱったりとなくなり


あの男のアカウントは削除されていた





順調に物事が進んでいたはずだった





『・・・さむ』





今日は、明日開くつもりの


須貝さん、伊沢さん、誕生日おめでとう会の


買い出しに行く予定がある


なのに


頭が重くてまともに歩けそうにもない





『最近、色々


詰め込みすぎたからかな・・・』





５月なのに、寒いと思うこの現象は


間違いなく風邪であろう





『９時・・・』





９時半になれば拓朗が迎えに来る


とりあえず連絡して


冷却シートと食べやすいもの買ってきてもらおう





『っ・・・』





ベッドから立ち上がった瞬間


激しいめまいに襲われ


そのまま起き上がることができなかった





―――――――――――――――――――――――

Side Kawakami





「出ない・・・」





Aに告白してから


特に気まずくなることはなく


ただ、伊沢さんと山本のAに対するスキンシップが


あからさまに多くなった


だから、毎朝こうして迎えに行けることは


結構嬉しかったりする





でも


Aは８割の確率で


俺が行く時間に起きない


その対策のために


合鍵をもらっている





「・・・はあ」





呼び出しベルを鳴らしてみるが


全く出てくる気配はない


呆れながら鍵を開ける


Aは俺に何かされるとは考えないのか





「Aー


そろそろ、起き・・・」





部屋に入るなり


自分の目を丸くした





「A！」





ベッドの傍に倒れて


苦しそうに息をするA


体を支えると


その熱さにまた驚いた





『た、くろ・・・？


ごめ、いま、起き』



「ばか、お前熱あるやろ」





Aの体を持ち上げ


ゆっくりとベッドに下ろす


確かに最近のAは忙しそうで


まともに休みも取れていないように思える





「とりあえず、熱計ろ


体温計どこ？」



『そこの、救急箱の、なか』





まだ息が苦しいのか


言葉も出し辛そうだ





「はい」





ピピっと音が鳴り、体温計を見ると


３８度５分とものすごく高温だった


確か平熱も低かったはず


そりゃ苦しいわ





「なんか食べたいものある？」



『拓朗、は


今から、オフィス・・・でしょ？』



「いいから」



『くだもの、


いっぱい入ったゼリー』





俺が頭を撫でると


Aはぐっすりと眠りに着いた

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