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Side Kawakami





最近、全くと言っていいほど


Aに会っていない


俺だけがAにできる唯一のこと


Aを起こしに行くことでさえも


最近は遠慮されている





「あー、遅れてごめん」





伊沢さんは見るからに元気がない





「川上さん、Aちゃんから


連絡返ってきました？」



「いや」





山本もAと連絡が取れないと


ずっと項垂れている





今日は珍しく


河村さんがずっと携帯を触っている


その顔は険しく


いつも余裕な河村さんらしくない





「Aちゃん


Twitterも更新してないんだよなー」



「会いたいですねー」





伊沢さんと山本も


携帯を弄り始める





「え・・・」





携帯を触っていたはずの伊沢さんが


いきなり驚愕したような声を上げた





「どうしたんですか、伊沢さん」



「いや、なんとなく


Aちゃんの名前検索したら


こんなの出てきたんだけど・・・」



「・・・っ！？」





伊沢さんの携帯に写されていたのは


Aが盗撮されたと見られる写真


これを投稿したやつのツイートをさかのぼると


俺といる写真や、山本、伊沢さんといる写真まで


さまざまな投稿がされていた


その写真には、全てに同じように


「僕がいるのにどうして」という一言が添えられていた


ただのファンではないようだ





「これって、ストーカーとかじゃ・・・」




山本の言葉にその場が凍りつく


驚いている俺たちをよそに


河村さんだけは、冷静でいるようにも思える





「河村さん、知ってたんですか」




俺の問いに


河村さんは肩を揺らす




「・・・知ってたよ


今日、聞いた」



「ならなんで！」



「おい、これ・・・」





山本の声を遮るように


伊沢さんが震えた声を発する


伊沢さんの携帯を覗き込むと


河村さんと一緒にいる写真





―もう、これ以上は我慢できない





―今から会いに行くからね





１０分ほど前の投稿だった





「河村さん、Aは今どこに」



「２時間ぐらい前にここを出て・・・」





河村さんもその投稿を見て


かなり焦っているようだった





「今から探しに！」



「俺は、Aに電話する！」





全員が慌てて動き出そうとした時


河村さんの携帯が鳴り響いた


河村さんは画面に出された名前を見て


焦ったように携帯を耳に当てた





間違いなく聞こえた


小さな


愛しい人の声






・






・






―助けてください

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