ローズマリーをあなたに【qk】 (ページ9)

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『あ、いーよ。

それ、あとで俺が運ぶから。』

発注していた食材が届いた。

『え、

ぜんぜん、運べますよ。

最近筋トレしてるんですよ、』

ほら。と、

腕まくりをしてみたものの、

須貝さんの反応は鈍い。

『腕。しまっときなさい。』

子供をたしなめるような、言い方。

………なんだろう、

この違和感。

『それよか、A、

いちごのヘタ取るの手伝って。』

『すごい量、ですね』

須貝さんは顔が広くて、

別荘近くの農家さんとも仲良しだ。

いつもいろんなものをもらってくる。

(そのかわりに、

日曜大工みたいなことをしているらしい)

須貝さんが生のいちごはもう食べきれん、

と言って。(ぜいたく)

ジャム作りをすることになった。

『っし！こっちはヘタとるの完了。

A、進んでないじゃん。』

手元を動かしていたつもりが、

須貝さんを観察してしまっていた。

すみません、と言って須貝さんをみる。

『…………須貝、さん？』

『あ、いや。なんでもない』

優しい、のは変わらない。

頼もしい、のも変わらない。

だけど。

すこしの違和感は、拭えなかった。