躊躇（sgi） ページ22
(触媒 side:sgi)
必死な顔で、
俺を引き止める。
お礼がしたい、と言ってくれているが。
大したことはしていない。
………勝手に俺がいたくていただけだ。
なんなら気持ち悪いと思われたっていい行動。
断って、立ち去るべきだと頭では思うのに。
俺は、言われるままに、
連絡先を交換してしまった。
---
俺は、
Aを知っていた。
もちろん名前は知らないが。
朝の地下鉄で。
時間と乗る場所が一緒だった。
毎日ではないが、何度も見かけた。
……変に思わないで欲しいが。
かわいいな、と。
思っていた。
今日は、朝自習室で勉強がしたくて、
電車に乗ろうとしたら、
この時間にはいないはずのAがいて。
………しかも突然倒れるから。
心臓止まるかと、思った。
---
気になっていた女の子と、
メッセージアプリでやりとり、している。
浮かれるな、俺。
彼女の言う【お礼】まで。
あと、3日。
---
『規律性調整障害って言うらしくて』
ほんと、ごめんなさい。と深々頭を下げるA。
『いや、全然。
俺の高校でも立ちっぱで話きくときとか、
倒れちゃう子とかいたし』
Aがどうしても、とごちそうしてくれた、
有名コーヒーチェーンのシーズナルドリンクが
目の前に鎮座している。
喉は渇いていたが、
俺は、Aとの会話に集中したかった。
『……………あの、
前に。絡まれていた女性を、助けてましたよね』
『え』
…そう、いえば。
なんとなく、見過ごせなくて。
あのとき、いたのか？
『……こんなこと、わたしが言うのも
おこがましいんですけど。
他の人のために、
自分を……犠牲にして、
どうか変なことに、巻き込まれないでください。』
あと。
優しすぎて、
勘違い、します。
……え、なんだろ、これ。
かわいすぎて、くるしい。
『……なにを、勘違いするの？』
『……須貝くんのことを、
みんな、すきになっちゃうってことです』
『……それは、Aも？』
身振り手振りが大きくなって、
あわあわしたあと。
『ええと、
それが、嫌で………
だから……、すき……？』
落ちない男なんて、いないだろ。
『………俺が、もし誰かに好かれても。
俺は、Aが、すきだよ。』
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みゆ - うーん、全部の作品選べないくらい好きです！！！ (6月4日 22時) (
レス) @page33 id: 379497ea92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：345 | 作成日時：2022年10月14日 0時
