小悪魔の証明【qk】 (ページ13)

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毎日（izw）ページ13

……Aが、

俺を、

すきだったらいいのに。

『伊沢』

おはよ、と言って

俺の隣に座る。

『おはよ、ぎりぎりじゃん』

『……寝不足。

久しぶりに走った』

いつもの甘いにおい。

目がとろりとしていて、無防備な表情。

きょうも、かわいい。

『伊沢くん』

講義が終わって、

女子数人から声をかけられる。

このあとみんなでランチに行かないか、との誘い。

『伊沢、じゃね』

そそくさと立ち去ろうとしたAを制して。

『ごめんね。俺、このあと用事あるんだ。』

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『なんで、

伊沢とランチすることになってるの』

『たまにはいーじゃん』

『女子の面倒ごとに巻き込まれるのは、

勘弁なんだけど』

Aとは、

たまたま共通の友達がいて、

知り合いになった。

学部は違うが、

履修科目が同じときは、

一緒に受講している。

この距離感になるまでに、時間はかからなかったが。

俺は、その先に進めないでいた。

『俺は、Aとランチしたかったから』

『伊沢、言う相手を間違えて刺されないでね』

『間違えないよ。

俺、Aにしかこういうこと言わない』

『…わたしの反応見て楽しまないように。

伊沢の考えてることはだいたい、』

いつもと違う、俺の空気に、

Aの動作がとまり。

こちらを見ている。

『伊沢、

今週末。

最近できたカフェに

朝ごはん食べに行きたい。』

折れかかってた心は瞬時に回復し、

『Aと、

朝ごはん、

毎日食べたい。』

心の声のはずが、

俺は声帯をふるわせていた。

そのあと、食べたものの味は

まったく思い出せないが、

すこし照れたように笑ったAの顔を。

俺は一生わすれない。