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＜重岡side＞
気がつくと床に倒れていた。
あれ、俺何してるんやろ。
何も知らん神ちゃんに当たって、勝手に悲しくなって。
さっさと帰ろうと思ったらこのザマか。
ほんましょうもないな。
頭では冷静に考えていたつもりだったが
目の前の景色は霞み、不安が押し寄せる。
受け身も取れずに倒れたせいで全身が痛い。
急に動いたから一気に酔いが回り、頭がガンガンする。
気分は悪いし、変な汗は止まらないし、
上手く息ができない。
苦しい、苦しい。
だれか。
神山｢しげ！聞こえる？｣
その声に遠のいていた意識が引き戻される。
｢…っはぁ、た、すけて…｣
暗闇に差し伸べられた手。
ごめんな、神ちゃん。
こんな俺で。
必死にその手にしがみつく自分に腹が立つ。
神山｢大丈夫や。絶対助けたるから｣
そう言って俺を包み込む神ちゃんの存在は心強くて
いつもよりでかく感じた。
神ちゃんの肩を借りてなんとかトイレまでたどり着く。
さっきから何度も吐きそうになっているが、
ろくに食ってないせいで上手く吐き出せない。
神山｢しんどいなぁ。吐いたら楽になりそうやけど｣
｢んっ……んぁっ…できひん…｣
苦しさで過呼吸気味になり、涙がボロボロと零れる。
神山｢無理か。…ごめん、ちょっと我慢してな？｣
便器を抱えてうずくまっている俺の口に何かが入ってくる。
それが神ちゃんの指だと知らず反射で強く噛んでしまった。
神山｢大丈夫。怖がらんと力抜いて｣
体を制御できず全力で食いしばってしまう俺に
優しく暖かく声をかけてくれる神ちゃん。
ごめんな、痛いよな。
神山｢しげの苦しさ、俺に預けて？｣
そんなことしていいんかな。
神山｢絶対ひとりにさせへん。大丈夫やから｣
苦しい時はひとりで耐えるしかないと思っていた。
神ちゃんは俺の心の苦しさも全部、分かっていたのか。
必死に取り繕っていたこともバレてたんだと思うと
徐々に体の力が抜ける。
神山｢そう、上手。すぐ楽になるから｣
神ちゃんの言葉を素直に受け入れる。
苦しくて怖いけど、さっきまでの不安はなかった。
｢…んぐっ……うぇっ……｣
俺の唾液でぬかるむ口内に躊躇なく押し入り
喉の奥を刺激する指。
神ちゃんが手を離した瞬間、便器に水の音が跳ねた。
神山｢よう頑張ったな｣
神ちゃんの言う通り、苦しさは少しなくなっていた。
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夜光(プロフ) - みささん» コメントありがとうございます！励みになります！ゆっくりですが完結できるよう頑張ります(ง •̀_•́)ง (2022年5月16日 12時) (
レス) id: 4599a482ed (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 面白いです！更新待ってます！ (2022年5月14日 9時) (レス) id: 6097d6630f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜光 | 作成日時：2022年5月3日 1時
