検索窓
今日:17 hit、昨日:101 hit、合計:104,228 hit

10 ページ10

.

金曜の夜、退勤ラッシュの人波に紛れながら駅へ向かう道すがら、私はずっとモヤモヤしていた。

あの日のことが頭から離れない。あの後、ハニは一度も家に来ていない。まあ、いつものことだ。あいつは気まぐれだし、私の家を本拠地にしてるわけじゃない。でも今回は———。

『結局、私はどうしたいんだろう。』

歩きながら、ため息をつく。

追い出すなら、とっくに鍵を替えればよかった。やろうと思えばいくらでもできるはず。それでもやらないのは...放っておけないから。あいつ、ほっとくと本当にダメになりそうで、結局いつも手を出してしまう。

いや、正直に言うと、それだけじゃない。


……なんだかんだ言って、あいつといるのが嫌いじゃないんだ。馬鹿みたいなやり取りも、くだらない冗談も、意外と悪くない。私の生活の、空いた隙間を埋めるには丁度いい存在だった。

ただ、これが良い関係かって言われると、全然違う。それは分かってる。だからと言って、このまま流され続けるわけにもいかない気がする。


『あいつだって、話せば分かるよね…たぶん。』

足元の小石を蹴るみたいに、心の中のモヤモヤを払いのけようとする。でも、それが消える気配はない。

結局、あいつが何を考えてるのかも、私が本当にどうしたいのかも、まだ答えが出ない。

ただ一つだけ決めたのは、次に会ったらちゃんと話そう、ということ。それがいつになるのかは分からないけど———いや、土曜の昼には、どうせあいつは家に来るだろう。


土曜。そう、明日だ。

11→←9 WN side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (121 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒猫アイランド | 作成日時:2025年1月15日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。