14 ページ14
.
日曜の朝、突如 ピンポン とチャイムの音が鳴り響いて目が覚めた。時計を見ると、まだ6時過ぎ。すぐにまた、ピンポンピンポンと連続で鳴らされ、うるさいなぁと文句を言いながらベッドから這い出る。
『誰よ、こんな時間に…』ぼやきながらドアを開けると、そこに立っていたのは予想通りハニだった。
「遅せぇよー｣と、得意げに言ってサーっと私の家に入ってくるハニは、リビングのソファに腰掛け、さっさと寝る体勢に入る。
『はぁ……』ともう一度ベッドに戻り、目を閉じた。
「ねぇー、お腹すいたんだけどー」
ドアの向こうから聞こえる声に目を覚ます私。眠気を振り払うように寝返りを打ちながら、少しだけ体を起こした。
『……はぁ〜？出前とればいいじゃん』と、まだ半分寝たような状態で答える。
「えー、しょうがねぇなー」ハニがスマホをいじる音が微かに聞こえた後、「お前もなんか食う？」と、気の抜けた声で問いかけてくる。
私は『食う。』とだけ返して再びベッドに倒れ込んだ。
しばらくして、「おーい、来たぞー！」とハニの声が響く。渋々体を起こし、リビングに向かうと、テーブルの上には寿司のパックが広げられていた。
「お前、寝すぎじゃね？」ソファに座って箸を動かしながらハニが言う。
『こっちは平日仕事してんのよ。』
隣に座りながら寿司をひとつつまんで口に放り込む。
『アンタこそ遊びすぎなんじゃない？いつか刺されるよ。』
「俺は割り切った子としか遊ばないから〜。心配無用でーす」と、にやっと笑うハニを横目で見ながら、
『心配なんかしてないけどね』と適当に返す。
そんな特に意味の無いやり取りを繰り返しているうちに、気がつけば昼も過ぎていた。
日が沈み、空が薄暗く染まり始めた頃、ハニはリビングでジャケットを羽織りながら、軽い調子で声をかけてきた。
「なぁー、お前も行く？」
ニヤッと笑うハニ、何を企んでいるんだか。
『行くわけないじゃん』と、私は思わず眉をひそめた。
「えー、そんな仕事ばっかでつまんないじゃん。たまには息抜きも必要じゃない？」
息抜き？少しだけ興味を持ってしまった私は、問い返してしまう。『何すんの？どこ？』
ハニはほんの少し間を置いてから、楽しそうに口角を上げて言う。「楽しいところ。」
その答えに、なぜだか私はあっさりと引き寄せられてしまった。疲れているせいかもしれない。
正常な判断力を完全に失っていた私は、不覚にも彼について行くことを決めてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 553人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒猫アイランド | 作成日時：2025年1月15日 12時
