検索窓
今日:12 hit、昨日:69 hit、合計:100,874 hit

27 ページ27

___


なんてことない日常が戻りつつある今日。それなりに充実していたけれど、少しだけ変わったことがあった。

それは、ホン・ジスさんとよく話すようになったこと。



「お昼、一緒にどうですか?」
「近くに新しくオープンしたお店、気になりません?」

そんなふうに声をかけられることが増え、LINEの通知も頻繁になった。

仕事の話だけじゃなく、何気ない雑談までしてくるジスさんを、私はなんとなく適当にあしらっていた。



正直、彼の気持ちにはうすうす気づいている。でも、私の気持ちはまだ曖昧なままで

私はどう答えればいいのかが分からなかった。




そのまま流れに任せて過ごす日々が続いていき、気持ちが整理できないまま、時間だけが淡々と過ぎていった。





...


仕事も繁忙期に突入し、業務を終えた頃には、すでに時計の針は終電ギリギリを示していた。

焦る気持ちを抑えながら、私はいつもなら避ける繁華街の道を急いで歩く。人通りは少なく、妙な胸騒ぎがする。
それでも間に合わないという焦りが、いつもの慎重さを鈍らせていた。

不意に、路地の向こうから数人の男たちの声が聞こえた。
嫌な予感がして、私は足を速める。

サッと通り過ぎようとした瞬間__


「ねぇねぇ、おねーさん、ひとり?」

横から不意に声をかけられ、隣に男が並んできた。
お酒の匂いが鼻をつき、酔っ払っている様子が一目で分かる。
その軽薄な笑い声に、背中を冷たい汗が伝った。

さらに前方には別の男たちが道をふさぐように現れた。あっという間に囲まれた私は、一歩も動けなくなってしまう。



目つきが悪くニヤニヤ笑う彼らの中に、一際見覚えのある顔があった。


「ん?もしかして…Aじゃね?え〜なんでこんなとこいんの〜?」

その男が私に気づき、ニヤッと笑った瞬間、心臓が嫌な音を立てた。



目が合った途端、全身に嫌な寒気が走る。——彼は私の元カレだった。
私を弄び、心を踏みにじった張本人。



『やめて、触らないで!』

思わず叫んだけれど、私の腕を掴む力は強く、振りほどこうとしてもびくともしない。


「いいじゃんいいじゃん。ちょっとしゃべろーよ?」

下品な笑い声とともに、私の腕をさらに引っ張る男たち。足元がふらつき、路地裏へと引きずられていく。




どうしよう——誰か助けて。


必死に叫ぶけれど、声は虚しく暗い夜に吸い込まれていく。
目をぎゅっとつぶりかけたその時__





「彼女から手を離してください。」



⠀ ⠀

28→←26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (145 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
642人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒猫アイランド | 作成日時:2025年1月11日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。