6 一年後 Side凛 ページ6
---
ふたりの父は夕方、仕事があるからと忙しそうに、
『またおいで』
そう言って出かけていった。
そして家には3人、小旅行の最後の夜だ。
「……なんで、こんなことになってるんですか」
「仕方ないだろう。Aがどうしてもと言うんだ……」
「どうしておふたりとも、そんな不満そうなのですか？」
「「 色々と納得がいかない 」」
雑魚寝した部屋に3つ並んだ布団。真ん中はもちろんA。仲良く川の字というわけだ。
俺も御子柴さんも、てっきりAは自分のところにくるものだと思っていた。
そこに、この状況だ。納得出来るか！
「電気消すぞー」
暗くなった部屋で目を凝らす。
やっぱりAはどこか楽しそうにしていた。
「兄様、凛さん。おやすみなさい」
「おやすみ」
「明日はちゃんと昼前までに起きろよ？」
「分かっております」
きっと御子柴さんのほうにも手を伸ばしていたんだろう。
『両手に花です』なんて言いながら笑ったAの手を軽く握って眠った。
小鳥のさえずりではなく、豪快ないびきによって視界は暗闇から引きずり出された。
なんだなんだと思えば、耳元には御子柴さんの顔。
いつの間にか朝で、なぜか俺の隣にいたのはAではなく御子柴さんだった。
俺を抱き枕がわりにしている御子柴さんは爆睡中。
腕を振りほどこうにもガッチリと掴まれていた。
なんていうか、男同士でこの体勢は……俺としては、ナシだ。
早めに逃げ出しておきたいところだった。
「ん……6時か。俺も起きるかな」
Aは部屋にいなかった。
必死で御子柴さんを引っぺがし、抜け出してすぐさまリビングに顔を出したら、Aは朝食の準備をしていた。
……めっちゃ、良い匂いする。
「おはよう、A」
「あっ、凛さん！ おはようございます。
お目覚めすぐで申し訳ありませんが、こちらを少し味見してくださいませんか？」
「ん？ 別にいいけど……っ！？」
返事を聞く前に動いていただろう手を受け皿にして、不意に箸で俺の口に運ばれたのは……かぼちゃの煮付け？
少し冷えているので、昨日俺達が騒いでいる間に作っていたモノだろうか。
咀嚼している間にも同じモノがもう一度、箸に支えられ俺の口が開くのを待ち構えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» ばりばりｗｗ でも私もそんなイメージです(;^ω^) 愛ゆえに…！！ (2014年9月13日 22時) (
レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 宗介は水泳が絡まないと、よくいる男子高校生、っというイメージなので、きっと下ネタばりばりいける派だろうと思って動いてもらった結果がコレになります。コスミの愛ゆえに歪めてしまいました。 (2014年9月13日 22時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - アイス…絶望的ですね…(´・ω・`) 宗介の誘導すごいｗ (2014年9月12日 15時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» うああすみませんm(__)m 消しときます(;´Д｀) (2014年9月12日 15時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 喜んで頂けてなによりです！ ですが、曲名はその通りなのですが、検索避けの為に曲名は晒さないでおいて頂けると嬉しいです。調べれば分かる程度に濁した意味がなくなってしまいますので……。 (2014年9月12日 14時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コスミ
| 作成日時：2014年7月17日 0時
