49 ES編 Side似鳥 ページ49
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安堵したような溜め息が聞こえる。
音の出どころはもちろん、凛先輩だった。
「本当、めちゃくちゃ知りたくない情報、耳にしちまった……」
「なんていうか、その。Aさんって実は寂しがり、とかなんでしょうか?」
「そのウサちゃんとやらを高2になって手放せないでいたのなら、そうなんだろうな。――ただ、寝室に勝手に入るわけには、なぁ」
「入るなって言われているんですか?」
「いや、ないな。一緒に昼寝でもします? なんてのほほんと言われたことはあっけど、付き合う前だし」
そこで二人してハッとなる。
昼寝。そう、昼寝ならやましい空気になりにくく、かつ、外泊届けも不要。
ただし、問題はお天道様が眩しい時間帯そのものにあるのだ。
平日は学校。学生の休日は部活が待っている。
オフの日は当然あちこち行きたい場所があるだろうし、そもそもそのオフの日だって中々都合が合わなくて、という状態なのは僕だって知っている。そんな中、僕の練習を見てくれたりしていることも。
部活が忙しくて別れるカップルだって、世の中にはいる。
でも凛先輩達はそういうタイプじゃない。お互いを支え合いながら頑張っていけるタイプだ。
「……凛先輩」
「なんだ、アイ」
「僕、影ながら応援していますので。お手伝い出来そうなことがあれば言ってくださいね」
「……おう。モモにAと付き合ってたの隠してたことといい、いつもありがとな」
部屋に戻ったら大変なことになってそうだけど、前みたいな落ちついた凛先輩との時間をもらえた。
あぁ、なんだろう。凄く落ちつくなぁ。癒されるってこういうことなのかな?
「どうせそろそろ風呂閉めるって言いにくるだろうし、のぼせねぇように俺らも上がろうぜ」
「はいっ!」
飼育中のクワガタの住処を見て安心から油断したのか、見守るような姿でモモくんは寝落ちしていた。
まさか、凛先輩に手伝ってもらって、二段ベッドの上に彼を運ぶことになろうとは。
「『女の子の影はない男子校だけど、いないからこその話題は尽きないのでした』っと!」
今日も日記にペンを走らせ、早起きを心がけて寝るのだ。
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bianca(プロフ) - コスミ@終わらない夏さん» やはりそうでしたか!お返事ありがとうございました。 (2014年11月15日 11時) (レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - biancaさん» そうですね、クロスオーバーさせております。別作品で箱根の狼さんを書き始める前に、相互ネタ仕込みしたかったので。 (2014年11月13日 16時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
bianca(プロフ) - 32にでているあらきたさんとは弱虫ペダルの荒北さんでしょうか??夢のコラボ!ですね@ 'ェ' @ (2014年11月13日 0時) (レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ@終わらない夏さん» 軽音だったんですか!羨ましいです〜(≧◇≦) このクオリティで没案…だと…!? すごく凛ちゃんだなぁと思って浸りながら読みました(*ノωノ) モモくんのクワガタへの愛がすごいですよねw 愛しの相手にはぴゅんすけをプレゼント!!ですからねww (2014年9月22日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - さくら大好きさん» 妹(姉)がいる設定は公式であるのに、まったく影が見えないのですが多分姉大好きっ子だと思うんですよね……。凛ちゃんが二期からめっきりツッコミ係のギャグ要員化しているので、そこを活かせればなぁなんて思っております。応援ありがとうございます! (2014年9月22日 10時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コスミ | 作成日時:2014年9月12日 14時