47 ES編 Side似鳥 ページ47
＊＊＊
「話は分かった。とりあえずそのカップルは俺らじゃないから、安心してその手を放せ」
「でもいつの日か、凛先輩は姉ちゃんとイチャコラするんですよねぇ？」
「いつの日かはな」
「ほらぁー」
「ほらぁー、じゃねぇよ。早く放せ、風呂の時間に間に合わなくなるだろうが」
凛先輩はモモくんが渋々その手を放した隙に、携帯を渡して逃げるように――。
なんか変な汗かいたし、僕もお風呂入ってこよう。
そそくさと準備を始めた僕を気にすることもなく、モモくんは床に転がっていた。
「モモくんもお風呂行かないと。ベッドに色々混ざった匂いついちゃうよ？」
「……そうッスね」
でもやっぱり向かう先は同じ。時間をずらす程の余裕はなかった。
お風呂場で凛先輩と出くわしてしまうのは、避けられない。
「マジで凛先輩に抱かれたら、姉ちゃんの骨とか絶対折れるし」
「モモは俺をなんだと思ってるんだ……」
「あぁー。でも、Aさん手足スラリと細いですしねぇ。転んだだけで折れそうな気がします」
「アイまでなにを言い出すんだ」
ぼんやりと、今この場にいるわけがないAさんの姿を思い浮かべる。
悶々とするのが男子高校生の仕事のひとつでもある。でも、他人の恋路よりまずは自分じゃないかなとも。
お湯に浸かって少し落ちついたモモくんが、ぼんやりと呟いた。
「だってつまりさぁ、いずれウサちゃんの位置に、凛先輩がくるってことでしょー……？」
『ウサちゃん？』という声は、二人分重なった。
どうやらそれはAさんが小さい頃からの睡眠のオトモである、ぬいぐるみのことらしい。
凛先輩も、Aさんの部屋にはそこそこお邪魔するも、寝室に入ったことはないから知らなかったようだ。
「昔から姉ちゃんの胸元を堪能してるウサちゃん、多分白波の部屋にも持って行ってると思うんだよなぁ」
「……もしかして、ぎゅーってして寝てる感じ？」
「はい。姉ちゃんが実家にいた頃とかよく部屋忍び込んでて、オレが寝床潜り込んだときは絶対一緒に寝てたし。ガチで息出来なくなるッスよ、アレ。姉ちゃんどっからそんな力出してんのってぐらい！」
――ん？
疑問に思ったのは僕だけじゃなかった。凛先輩も似たような顔をしていた。
『綿が変に寄ってる原因、絶対あれだよ』なんて続けるモモくんに、問うべきか否か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bianca(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» やはりそうでしたか！お返事ありがとうございました。 (2014年11月15日 11時) (
レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - biancaさん» そうですね、クロスオーバーさせております。別作品で箱根の狼さんを書き始める前に、相互ネタ仕込みしたかったので。 (2014年11月13日 16時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
bianca(プロフ) - 32にでているあらきたさんとは弱虫ペダルの荒北さんでしょうか？？夢のコラボ！ですね＠ 'ェ' ＠ (2014年11月13日 0時) (レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» 軽音だったんですか！羨ましいです〜(≧◇≦) このクオリティで没案…だと…！？ すごく凛ちゃんだなぁと思って浸りながら読みました(*ﾉωﾉ) モモくんのクワガタへの愛がすごいですよねｗ 愛しの相手にはぴゅんすけをプレゼント！！ですからねｗｗ (2014年9月22日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - さくら大好きさん» 妹（姉）がいる設定は公式であるのに、まったく影が見えないのですが多分姉大好きっ子だと思うんですよね……。凛ちゃんが二期からめっきりツッコミ係のギャグ要員化しているので、そこを活かせればなぁなんて思っております。応援ありがとうございます！ (2014年9月22日 10時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コスミ
| 作成日時：2014年9月12日 14時
