【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart4【Free!】

18 ES編 ページ18

「お大事にしてくださいね」
「はい。――は？ なんでアンタここに。つかその怪我、どうした……？」
「――山崎さん？」

　第2診療室と書かれた場所から出てきたのは、山崎さんでした。
　お互い混乱していると、山崎さんの後を追って看護師さんが『忘れ物です』とお届けにやってきました。
　それを受け取るべく伸ばした山崎さんの右腕が、変な位置で止まりました。同時に山崎さんの痛みを訴える声もあがります。怪我、でしょうか……。

「――あら、あなた目が覚めたのね！ 異常がないか検査するから、えーと……このメモ持って、あそこの検査室に行ってね」
「え、あ、は、はい……」
「次の方どうぞー」

　痛そうに肩へ手を当てたお兄さんが一人、第2診療室へと消えていきました。
　メモにはきっと私の情報だろうそれが、私には分からない形で書いてあります。

「あのさ。なにがあったか知らないけど生きてるみたいだし、命に別状はないと判断していいんだよな？」
「はい、痛いのは頭と背中くらいですから」
「ここでアンタに会ったこと言わないから、アンタも俺とここで会ったこと、凛に言わないでくれ。絶対だ」

　山崎さんはそれだけ私に告げると、お大事に、と待合室へ向かっていきました。
　気になることは沢山ありますが、まずはこのメモを持って検査室へ。

　検査結果が出るまでさっきの部屋で寝ていてください、と言われたのですが、殆ど歩いていない筈の廊下から見えるドアは全て閉まっています。どの部屋だったか、ちょっと一目では分からなくなってしまいました。
　メモをくれた第2検査室の看護師さんは私のことを知っていました。まずは第2検査室を目指して進みます。
　次の患者さんを呼ぶ看護師さんに声を掛け、事情を説明すると別の看護師さんが案内してくださいました。
　なにかあったらこのボタンを押してね、とナースコールという存在を私に教え、持ち場に戻られました。

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