おねがい ページ3
.
『剣持くーん！』
「…またあなたですか…。」
『あなた！？あなたって何、剣持くんって私のお嫁さんだっけ、あれ、』
「な訳ないだろ！現実を見ろ！」
『やん、きびし。』
おっと、本題を忘れるところだった。
『そう、剣持くん。お願いがあるんだけどさ。』
「すみません、生憎僕これから体調が悪くなる予定でして…。」
『なんとそれは大変だ、ってんなわけあるかーい！』
「で、話ぐらいなら聞いてあげなくもないですけどなんですか？」
『え、聞いてくれるの！？』
今は帰りを見守り中。朝も見たマフラーを同じようにつけてこちらを見遣る彼。
妙に色っぽい白い吐息に意識を取られそうになる。
『お願い！モデルになって下さい！』
「言葉足らず。やり直し。」
『今日ね、男性服をデザインする課題があ出て、お題が“冬”なの。
それでモデルにできる男の人を探してるんだけど…ほら、いかんせん友達がいないもんで。』
顔の前で両手を擦り合わせて腰を屈める。これでダメだったら土下座する予定である。
「…スイパラ。」
『、へ』
「今度スイパラがどうりょ…あー、推しとコラボするんですよ。…連れてってくれるならいいですよ。」
そっと同じようにマフラーに口を埋めて前を向く剣持くん。もう既に土下座する体制で構えてた私は思いっきり拍子抜けし、地面に膝をついた。でも生足から伝わる地面の冷たささえどうでもいいくらい、私は目の前の彼に縋り付きたくなった。もはや縋り付いていた。なんならしがみついてた。
『ほ“ん”と“ぉ”！？』
「これで嘘ですって言ったらおまえ地の果てまで追いかけてくるだろ。」
『残念！言わなくても追いかけるよ！』
「はいはい。」
困ったように眉を下げて、ほら、離れて下さい、と半ば無理やり私を引っぺがす剣持くん。やだ、剣持くんローアングルもかっこいい。
『うわぁーん剣持くん好きです！！！！』
「ごめんなさい。」
『許してあげましょう。』
「全然許さないよ？僕。」
『あースイパラだっけ〜〜〜、バイト増やさなきゃ。』
介護されてようやっと立てた私。どんどん前に突き進む彼にひょこひょことついていく。
「お金無いんですか、オネエサンなのに。」
『ぐっ…学生のオネエサンだから…。』
「ふぅん…まぁ精々僕のために働いてくださいね。」
『仰せのままに！！！！！』
あ〜〜〜好きだ剣持くん！！！！！
溢れ出る好意と創作意欲を押さえつけて、私は帰路へと着いた。
．
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←さむぞら
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雫(プロフ) - 星屑晴天さん» そうだったんですね！公開されるの待ってます！ (2022年7月21日 1時) (
レス) id: 06f9a0f262 (このIDを非表示/違反報告)
星屑晴天(プロフ) - 雫さん» 申し訳ありません…そちらの作品は現在公開してなくてですね…。でも消すのも少し勿体無くて…。紛らわしくて本当にすみません。 しかし今後一切公開する予定がないわけではないので、首長くしてお待ちいただけたら大変助かります…！本当にすみません！ (2022年7月21日 0時) (レス) id: 4ee54541c5 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - すいません。別作品のロリとロリコンのパスワードがどうしてもわからないのですが、こちらで教えて頂けたりしますでしょうか？迷惑でしたら本当にごめんなさい。 (2022年7月19日 17時) (レス) id: 06f9a0f262 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星空華乃 x他1人 | 作成日時：2022年6月30日 22時
