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Side ini
時刻は深夜1時。気づいたら俺はその画面に親指を触れていた。
『もしもし、乾…?こんな時間に電話とか珍しいじゃん笑』
「…ノブ、久しぶり」
声を聞いて安心して、俺は今にも涙が溢れそうで、しばらく何も話せないでいた。
『いや実はさーこっちなかなかのブラックでさ、上司めちゃくちゃ厳しいんだよね〜』
そっちの有り難みが分かった気がする、戻りたいなんて言えないけどね笑
まあ俺がやりたかった仕事だから、楽しいは楽しいかな』
多分俺の気持ちはノブに届いてるんだろう。
俺が言葉に詰まった時、ノブはいつもこうやって話し続けて俺を安心させてくれる。
「あのさノブ、俺最近思うんだけど、」
『うん、どうした?』
「俺ってこのままクイズノックに居て良いのかな」
「ただの編集者でさ、クイ研出身でもなくて企画でも迷惑かけてばっかだし
俺が居る意味ってあるのかな。
イベントとかテレビとかも出させてもらうこと増えたけど、有名なメンバーが
たくさん居る中で俺が出演し続けるのって、正直邪魔なんじゃないかって、、」
つい一気に吐き出した。自分でも何が言いたいのかよく分からない。
『乾、お前』
『必要に決まってんだろ。コメント欄とか見ないの?エゴサしないタイプ?』
『乾が出た動画はほとんど乾へのコメントで埋まってるんだよ。
爽やかで頭脳明晰で、ちょっと抜けてて毒舌で。完璧人間だよお前は。
『別に視聴者さんに限ったことじゃなくて。
俺前伊沢さんと河村さんと話したんだけど、その時2人めっちゃ乾のこと褒めてたよ。
編集ももちろん上手いし、ひらめき力すごいし、
朝それだって乾が居るってだけで面白いし、いつも誠実に企画に向き合ってくれるって。』
正直最後の方は耳によく届いてなかった。涙でもう何も見えない。
『俺今でもいつも動画見てるよ。いち視聴者目線で言うけど、乾はクイズノックに欠かせないやつだと思うけど。というか欠かせないやつだからお前は。
乾は乾が思ってる以上に愛されてんだよ。周りの人たちに』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今日は…問とサブ撮るのか。
実は問と2人で話すことってあんまり無い。
結局昨日(日付変わってたけど)明るくなるまでノブと話し込んでしまった。
幸いノブは今日は休みだったから大丈夫だったけど。申し訳ないな。
ノブのお陰で少しは自信がついた気がする。
俺は愛されてるんだなって実感できたような。

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作者名:翠依 | 作成日時:2025年1月8日 23時