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「Aさんはね、昔色々あったみたいよ、いざこざ」
「それは、どういう、?」
「学年のボス的な人と大喧嘩?したんだってさ。僕も詳しいことはよくわかんないんだけど、
それで中2くらいからあんまり学校に来てなかったらしい」
問ちゃんは何でも情報屋だな、ほんと。
俺は、彼女の瞳の影の理由が分かった気がした。
「ちょっと言ちゃんに似てるよね、Aさん笑」
でも、Aさんそういうタイプに見えないんだけど。好きな子フィルターってやつ?
きっと何か理由があったんだろうな、いつかその話、聞いてみたいな。
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1時間目の美術を終えて、1人で足早に教室に戻り、窓際のせきに向かっていたときだった。
俺は、息を飲んだ。
そこには、数ヶ月ぶりに見るAさんの姿があった。
心臓の鼓動は収まることを知らないようだったが、俺は真っ先に口を開いていた。
「おはよ、Aさん」
俺は敢えて「久しぶり」「来れたんだ」という言葉を使わなかった。俺が一番嫌いな言葉だったから。
『おはよ、言くん』
変わらない笑顔に俺は安心した。
それからというもの、Aさんはまた少しずつ学校に来るようになった。
色々あってLINEも交換できて、Aさんが学校に来ない日もLINEで会話をした。
こんな日々がずっと続いて欲しいと思った。
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『え、言くんも有吉○ミ好きなの!?笑』
「うん、ヒロミさんのリフォームのやつめっちゃ好きなんだよね」
『意外だな〜私大食いの企画好き』
「そっちのほうが意外なんだけど笑」
2月のある日の出来事だった。
俺たちはすっかり打ち解けて、テレビやゲームなど、くだらない話で盛り上がっていた。
3時間目の体育の前、体育館へ向かう外通路、
何かが倒れるような音と、物がバラバラと落ちる音が聞こえた。
俺の体は、無意識にそっちへ走り出していた。
頭の片隅では気づいていたんだと思う。彼女の顔色が日に日に悪くなって、隈が濃くなっていることに、
でも触れられ無かった。触れちゃいけない様な気がした。
それからのことはあまり覚えてない。幸い近くに保健室があったので、彼女を抱えて保健室へ走った。
養護教諭のおばちゃん先生にお礼を言われ、俺は渋々保健室を出た。本当はずっと傍にいたかったけど。
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作者名:翠依 | 作成日時:2025年1月8日 23時