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Your side
『たぁ兄ぃぃぃ〜!!!!!』
「大丈夫だから落ち着きなさいよ。」
あれから1週間。
せっかくの機会なので少し自分なりに企画を考えてみることにしたものの、考えれば考える程よく分からなくなってしまい、結局たぁ兄を頼るといういつものパターンに落ち着いていた。
夕飯提供するから!と彼を家に呼びよせて、夕食後に色々相談に乗ってもらおうという魂胆だ。
きっとそんな考えは見え見えだろうに来てくれるたぁ兄はやっぱり優しい。
『本当に大丈夫?企画通る?』
缶ビール片手にもう何度言ったか分からない愚痴を言えば、
「通る通る。ちゃんと面白いし。」
なんて適当な返事が返ってくる。
『安直だなぁとか思われへんかな。』
「むしろ最初は安直なくらいで丁度良いと思うけどね。」
『むちゃくちゃ音楽頼りだけど?』
色々案を出してみたが、音大生常識クイズとか答えが全て音名になるクイズとか、どうしても音楽ネタに頼る感じになってしまい、みなさんが高学歴クイズプレイヤーであるという事が活かせないのではないか、と心配になってしまう。
「そんな事言ったらそもそもQuizKnockだってめちゃめちゃ東大頼りでしょ。音楽ネタの方が君も問題作りやすいだろうし、あなたが藝大生だって事を思い出させてあげなさい。」
と言われて、思わず苦笑いする。
確かにこの間コメントで、そういえばAちゃん音大生だった、なんて言われてたっけ。
まぁ、他のメンバーの皆さんと比べても違和感がないくらいにはクイズ力が上がってきている、という風にも捉えられるからそれはそれで嬉しいんだけどね。
「まぁ、企画が通ったら僕も相談くらいは乗ってあげるから安心しなさい。」
『あー、神様仏様河村様だわありがとう。』
「変な呼び方しないでよ。」
なんて言いつつも満更でもない表情のたぁ兄。
本当は言うほど嫌じゃないんじゃないの?なんて思いつつ、
『それはそうと、そろそろ冬ですけどどうですか?』
と、すっかり空になった食器を重ねながら尋ねる。
「突然だね。どうしたの?」
『んー?今年は無事に越せるのかなって心配してあげてるの。』
優しいでしょ?とわざとらしく言えば、恩着せがましいなぁ、と目を細められる。
「まぁ、何かあった時は頼んだよ。」
『お互いにね。』
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時