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河村side
伊沢とのクイズ対決。
早押しは初めてと言いつつ、Aも結構頑張って食らいついていた。
「え、でも本当に初めてとは思えないし、知識も全然あるじゃん。何で覚えたの?」
と、機材の片付けを進めながら福良が尋ねる。
『うーん、あんまり頑張って暗記した!って訳じゃないんですけど、まぁクイズ系の動画見たりとか、あと公開されてるペーパーとか趣味で解いたりとかしてるうちに覚えてたって感じですね。』
「いや普通の子は趣味でペーパー解かないのよ。」
なんて笑いながら話している様子を見ると、Aもすっかり2人と打ち解けたようだった。
自分の友人同士が仲良くなるのは、なかなか気分が良いものだ。
「え、ちょっと俺Aちゃんにまだ色々聞きたいことあんだけどさ、この後飲み行けたりしない?」
『あ、構いませんよ!』
なんてちゃっかり飲みの約束を取り付けた伊沢が、
「ほんと!河村さんどうします?」
と、僕に目線を飛ばしてくる。
「うん、じゃあ僕も参加しようかな。」
いくらなんでもいきなりAを1人にするのは可哀想だし、もしかしたらかなり大事な話も出るかもしれない。
「じゃあ福良さんも入れて4人で、Aちゃん食べられないものとかある?」
『無いです!』
「おっけー、じゃ、いつものとこでいっか。」
と、QuizKnockのメンバーでよく行くオフィス近くの居酒屋に向かった。
「って事で、撮影お疲れ様でした!乾杯!」
という伊沢の音頭で一同がジョッキをぶつけた所、福良があれ?と声を上げる。
「待って、めちゃめちゃナチュラルにAちゃんビールだけど、今大学2年じゃなかったっけ。誕生日早いの?」
『あ、私一浪してるんでもう20歳なんです。ちなみに誕生日は3月です。』
「あぁそうなんだ!へぇ、じゃあ意外と苦労人なんだね。なんか、高校から音楽科って聞いてたからすごいエリート街道で来たのかと思ってた。」
エリート街道、ねぇ。
この子の受験期はなかなか壮絶なもんでしたよ、と言いたい所だったが、まあ今話す事でもないか、と目の前のお通しに手をつけた。
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時