手枷、足枷ーymmt×sgiー ページ2
ymmt side
「はいカットー!お疲れさん!」
伊沢さんの元気な声が撮影部屋に響く。今日は一気に取り溜めする日で、オフィスはにぎやかだ。
「山本お疲れさん、どったの最近」
「あ、あはは,,,」
最近はすこぶるクイズの調子が悪い。押し負けたり、問題の先読みが違ったり。
趣味がうまくいかないと日常生活もうまくいかなくなるようで、記事の誤字や裏取り不足も増えた。
人に心配かけるの好きじゃないし相談とかはするつもりない。自己完結、してるし。
「足だって引っ掻き傷できてんじゃん。転んだの?」
「っそうなんですよ〜、最近ホントついてなくて、へへ」
「じゃあその手首はどう説明すんのかな?」
思わず顔をあげると須貝さんはニコニコとこちらを見ている。,,,目は笑ってない。
ばれてた。
「山本、ちょっとこい」
「え、でも僕まだ撮影がっ」
「そんなの予定変更してもらお。伊沢ー!山本ちょっと休ませてもいい?」
「了解、別のやつ先に録ってます。山本ー、無理すんなよ」
僅かに助けを期待した伊沢さんも予定変更を了承した。,,,あっさりと。
ポケットに手を入れる。途端須貝さんに腕を掴まれて仮眠室へ連行された。
「じゃ、山本腕捲って。逃げられないからな」
仕方なく両腕を捲る。露になった両腕には手首から関節にかけて大小、古傷から生々しいものまで沢山の筋がついていた。
「気持ち悪いですよね、もう隠しますから」
「だめ。それだけ山本が苦しんでるんだから」
「でも」
「さっきの手、きっとポッケにカッターでも入ってんでしょ」
何から何までお見通しだ。
「理由、俺なら言えるか?軽蔑とか絶対しねぇから」
僕は全部喋った。クイズが最近全然うまくいかないこと、私生活もミスが増えていること、大学も留年してしまって周りからの風当たりも強くなっていること。
消えてしまいたい、とまで思っていること。
「そっか。頑張ってんな、山本」
黙って聞いてくれた須貝さんは、僕が話し終わるとそういってぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「少なくとも俺はお前が絶対必要だから。勝手に逝かれたりしたら困る。な、だから」
そういうなり僕のポケットに手を突っ込む。小さなカッターを取り出すと、両腕と両足首に一周傷をつけた。
「っえ!?なにして」
「山本をここに繋ぎ止めとく為のもの。自傷もできるし、一石二鳥でしょ」
辛いなら早く言えよ、と吐き捨てて須貝さんは部屋を出る。
取り残された僕の体には、4つの枷がついていた。
fin
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颯楓(プロフ) - 笹さん» わああありがとうございます!!!嬉しすぎて溶けそうです笑ちまちま更新ですがよろしくお願いします! (2020年8月18日 6時) (レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
笹 - 初めてコメントを書かせていただきます! タイトルの付け方から本文までインテリジェンスが溢れてますね(( ymmtさんとko-chanのヤンデレが特に好きです! これからもぜひ作品を読ませてください!長文失礼致しました。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: a74edc1ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯楓 | 作成日時:2020年8月9日 14時